『武州伝来記』とは? わかりやすく解説

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『武州伝来記』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/10/07 07:40 UTC 版)

寺尾孫之允」の記事における「『武州伝来記』」の解説

その「追加」の部に、次のように記されている。 一、二天流兵法二祖寺尾孫之允信正は、細川家家臣たりといへども、その身は一生仕官せず熊本城下近邑に引篭り耕して生涯送り福力あつて米銭乏しからずと云り。武州数百人の門人より一人撰び出し伝授ありし人なり。法名夢世と号す。小兵ながら力量ありしといへり。寺尾本家今尚細川家臣たり。五尺の仕道、信正鍛錬なり。武州公は片手にて自由せられしゆへ別段にわざはなし、信正至り片手にては振りがたきゆへ、仕道を付けられしと也。隅に蟠(わだかま)りたる敵、又は取篭り者等に別して利あり。これ皆中段すみのかねより事発れり。 これは寺尾孫之允7年随仕して二天流相伝受けた柴任三左衛門伝えた話である(同書)。この人物については細川家にさえ伝承がほとんどなく、その風貌力量、生活の様子を知る唯一ともいえる貴重な史料である。誇張粉飾様子もなく、その伝経路から信憑性極めて高いものと考えられ寺尾孫之允論の基本史料となるものである隠棲地 《一生仕官せず熊本城下近邑に引篭り耕して生涯送った》という所は、平成5年1993年)の夏、熊本作家長井魁一郎によって発見された墓のあった宇土市松山五色山山麓考えられる。 墓 《表面寛文十二壬子南無阿弥陀仏 釋夢世滅度九月十九日裏面辭世歌 露とをきつ由ときえにしわか身かな 何盤乃事は夢の又由免 寺尾源勝六十歳 「夢世」は孫之允の号であり、『五輪書』を弟子山本源介等に相伝奥書に、「寺尾夢世勝延(花押)」と著名している。 墓の発見により孫之允は寛文12年1672年)に60歳まで生きたということわかった武蔵死後27年後である。逆算する生まれたのは慶長18年1613年)である。武蔵晩年肥後に来た寛永17年1640年)は28歳。それから正保2年1645年)、33歳まで5年間、武蔵について兵法学んだということになる。 風貌小兵ながら力量ありしといへり》これも孫之允の風貌想像させるおそらく唯一の史料である。孫之允は小柄な体躯であったらしい。武蔵身の丈6尺の巨体相反する者が一流継承したということになる。 出自と家族寺尾本家今尚細川家臣たり》 子孫に伝わる『寺尾家系によれば先祖新田氏であり、寺尾本家は父左助勝正が慶長7年豊前小倉細川忠興召抱えられ、忠利代1050石、鉄砲50挺頭の重臣である。本家は兄九郎左衛門(喜内)が継ぎ、孫之允は二男野田一溪の『先師道統次第系図』(1782年によれば「耳ノタリ少シカゲタルユへ不具トシテ浪人セリ」とあり、耳が少し不自由だったので、藩には出仕せず浪人牢人)だったとしている。孫之允が浪人であったことは「寺尾家系」にも書かれている細川家譜『綿考輯録』には兄喜内、弟求馬とともに島原の乱出陣した記録がある。肥後における武蔵伝記『武公伝』では「夢世ハ一代ニテ兵術子孫に不傳」とある。兵法自分の子孫には伝えなかったが、「寺尾家系」(山田紘靖によれば一男一女あり。女子横井某へ嫁し男子早世す、松岡玄寿の二男養子為すが、牢人断絶となっている。 弟の寺尾求馬助信行当時200石(後300石)、武蔵から『兵方三十五箇条』の伝授を受け兵法相伝したとされ、その子新免弁介、郷右衛門などの流派分かれ熊本藩幕末まで栄えた。 「五尺の仕道(技)」 注目するのは、武蔵の技の中には一の弟子寺尾といえども真似出来ないものがあり、独自の工夫が必要であったということである。それが「五尺の仕道(技)」であり、この技は武蔵ではなく寺尾孫之允開き任らに伝えた武蔵は力があって5尺杖片手自由に振っていたので、別に技の工夫をする必要もなかったが、寺尾至って片手では振れないので工夫して会得したというのである武蔵力量述べた具体事実事例として重要である。

※この「『武州伝来記』」の解説は、「寺尾孫之允」の解説の一部です。
「『武州伝来記』」を含む「寺尾孫之允」の記事については、「寺尾孫之允」の概要を参照ください。

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