『機械』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 02:00 UTC 版)
1929年(昭和4年)10月、横光、川端、犬養健、永井龍男、深田久彌、堀辰雄、吉村鐡太郎らが同人となって『文学』を創刊、小林秀雄はアルチュール・ランボーの「地獄の季節」翻訳を連載し、また淀野隆三はマルセル・プルーストの「スワン家の方」の翻訳を連載した。 1930年(昭和5年)2月には高架線が東京で建設されていったことを背景に「高架線」を『中央公論』に発表。同年8月、山形県由良海岸(現・鶴岡市)に滞在して「機械」を執筆、町工場の人間模様を実験的な手法で描いた。「機械」は『改造』9月号に発表される。淀野隆三翻訳「スワン家の方」の文体やジェイムス・ジョイスの『ユリシーズ』に影響を受けたといわれている。小林秀雄は手法は外国にも類例がないほど新しいと絶賛した。文壇で横光は「文学の神様」の座に押し上げられた。「文学の神様」とは当初、横光のふてぶてしい態度を揶揄するものだったが、やがて信奉者が肯定的な意味で使い始めたものである。川端康成は横光が過剰に持ち上げられすぎることに懸念を示し、「(「機械」発表後の)青年達の横光氏への礼賛の合唱は、私には、彼を不幸の殿堂にまつりあげようとする歌声に聞えてならない」と危惧したが、横光は得意げであったという。終戦後に横光が徹底的に否定された背景に「文学の神様」として絶頂であった事実が無関係とは考えられず、この川端の予感はある意味正鵠を射たものであった。伊藤整は、1927年の芥川没後、志賀直哉は奈良に住み新作は発表せず、佐藤春夫は第一線を退き、谷崎は『卍』を発表したが関西に住んでおり、横光は東京の文壇の中心的な存在になっていたとしている。 9月に南満州鉄道の招きで菊池寛、舟橋聖一とともに満州を旅した。11月から12月には最初の新聞小説「寝園」を『東京日日新聞』と『大阪毎日新聞』に連載。 1931年(昭和6年)11月に刊行した『書方草紙』の序文で「国語との不逞極まる血戦時代」と大正時代からの文学的来歴について表現している。 1932年(昭和7年)、新感覚派の集大成というべき『上海』と『寝園』を刊行した。1933年(昭和8年)1月3日に次男・佑典が誕生。 『改造』1934年(昭和9年)1月-9月号まで「紋章」を『改造』に連載し、直後に刊行。同年、森敦を『東京日日新聞』・『大阪毎日新聞』に推薦し、「酩酊船」が掲載された。 1934年(昭和9年)7月の『文藝』に掲載された学生との座談会では、文壇を取引所、市場として形容している。またこの頃、「一番嫌ひなものは、私は文学だと云ひたい」「しかし、このごろは、嫌ひだからこそ文学をやるのだと、逆にまた私は私で云へるやうになつて来た」と書いている。
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