「べっぴんさん」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 14:31 UTC 版)
あらすじ 「あたし」はいつものようにあやねを連れて、同じママ友達が集う烏ヶ谷公園(通称:パンダ公園)へ行く。ここではみんなが常にニコニコとしていて、自分の子供がどんなことをしても怒らないが、それはきっと表向きの姿だと「あたし」で、「あたし」が家に帰って、1日の行動を思い出して「これはブランコに割り込んだ分」「これはお砂場道具を片付けなかった分」と、あやねの髪をつかんでひきずったり太ももを叩いたり、背中を蹴ったりしているみたいに、きっとどのママも同じことをしているに違いないと思っている。その根拠は「あたし」のママも「あたし」に同じことをしてきたからである。しかしママ友の一人であるはなちゃんママはそんな「あたし」の神経を逆撫でするかのようにいつでもどんな時でも穏やかで、「あたし」やあやねを「べっぴんさん」と褒めるなどするため、「あたし」はいつもイライラしている。ある日、あやねがはなちゃんママに、「あたし」とお揃いのブーツを見せると言って、「あたし」が止めるのも聞かずに公園に履いていき、案の定つま先を壊してしまう。謝るあやねを見かねたはなちゃんママは、直してあげると自宅に誘う。「あたし」は仕方なくあやねの身体にできた痣を隠すためにタイツやタートルネックをあやねに着せ、はなちゃんママ宅を訪れる。あやねが暑いと言って服やタイツを脱ぎ始めて「あたし」は肝を冷やすが、にぶいはなちゃんママは痣に気づかないと思い直す。しかしあやねがスポンジボールを投げて紅茶のカップを割り、「あたし」が思わず椅子から立ち上がった時、あやねはものすごい勢いで頭をかばい、「ごめんなさいごめんなさい」と連呼した。「大袈裟なんだから」と必死にとりつくろう「あたし」の姿を見たはなちゃんママは、「虐待されてたんでしょ?あたしもだよ。だからわかる、辛かったよね。」と、あたしに抱きついて泣く。 登場人物 あたし あやねの母。専業主婦になって3年。夫はタイのバンコクに赴任中。はなちゃんママと同い年で、同じマンションの4階のエレベーターホールをはさんで7軒はなれた部屋に住んでいる。 夫が一時帰国する前日、あやねが10か月の時以降、何かと理由をつけてあやねに手をあげてしまう。自らも母親に児童虐待を受け、「自分は世界で1番悪い子」だと思いながら育ってきた。DVが起こる原因は女性が自立していないからだと思っていたため、勉強して奨学金で大学を出て、東京の化粧品会社に就職。結婚する気もなく子供もいらないと思っていたが、取引先の会社に勤めていた今の夫と仲良くなり、「子供がいなくてもきみさえいればいい」と言われたため結婚した。しかしいざ結婚すると夫は「子供がほしい」と言い出したため、3年悩んだ末にあやねを産んだ。胎盤剥離の可能性で妊娠中期から入院したため仕事の引き継ぎがうまくいかず退職した。母親はお酒を飲んだ知らない男の車に乗り、赤信号の交差点につっこんで一緒に亡くなった。 あやね 「あたし」の3歳の娘。外でなら怒られないのがわかっているため、外でのみ「あたし」に話かける。「あたし」と2人になると、いつも胸の前で手を組み、叩かれてもすぐにかばえるようにしている。 はなちゃんママ はなちゃん(赤ちゃん)とひかるくん(3歳)の母。「あたし」は笑顔がわざとらしいと思っている。ママ友の中では一番野暮ったく、数年前のユニクロのフリースや食パンのシールを集めたらもらえるフリースケットを使い、ミスタードーナツの景品のストライプ柄のかばんを持つ。各スーパーの特売の日にも詳しい。白髪が目立ち、自分のことを当たり前のように「おばちゃん」と呼ぶ。人に近づいて話す癖がある。 高知出身。働かず酒に溺れる父親から虐待を受けていたが、近所の在日コリアンのおばあちゃんにかばわれ、いつも「べっぴんさん」と言われていた。しかし、おばあちゃんは後に海に飛び込んで自殺してしまった。 こうやくんママ ゆうやくん(4歳)とその弟のこうやくんの母。すらりとした長身で、ロングヘア。兄弟が喧嘩をしても鷹揚に笑うが、咄嗟にきつく子供を叱ってしまうことがある。 りえちゃんママ みんなに自家製のお菓子を配る。
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