現代自動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 00:44 UTC 版)
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | OTC Pink HYMTF |
略称 | 現代、ヒョンデ |
本社所在地 |
韓国 06797 ソウル特別市瑞草区獻陵路12 |
設立 | 1967年12月29日(現代モータース株式会社) |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 9700150082809 |
事業内容 | 自動車 |
代表者 | 鄭夢九(会長兼CEO) |
資本金 |
1,488,993 Million Won (KRW) (2018年12月31日時点)[1] |
発行済株式総数 |
213.668百万株 (2018年12月31日時点)[2] |
売上高 |
連結:96,812,609 Million Won (KRW) (2018年12月期)[3] |
営業利益 |
連結: 2,422,165 Million Won (KRW) (2018年12月期)[4] |
純利益 |
連結:1,645,019 Million Won (KRW) (2018年12月期)[5] |
総資産 |
連結:180,655,752 Million Won (KRW) (2018年12月末時点)[6] |
従業員数 |
71,504名 (2020年12月時点) |
決算期 | 12月末日 |
所有者 | 現代自動車グループ |
主要株主 | 現代モービス 29.11% |
関係する人物 |
|
外部リンク |
www |
現代自動車株式会社 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 현대자동차 주식회사 |
漢字: | 現代自動車 株式會社 |
発音: |
ヒョンデヂャドンチャ チュシックェサ (ヒョンデ チャドンチャ チュシクフェサ) |
日本語読み: | げんだい じどうしゃ かぶしきがいしゃ |
RR式: | Hyeondae jadongcha jusikhoesa |
MR式: | Hyŏndae chadongch'a chusikhoesa |
英語: | Hyundai Motor Company |
ヒョンデ自動車が蔚山で稼働させている世界最大の総合自動車製造工場は、年間160万台の生産能力を持っている。同社は全世界で約7万5000人を雇用しており、ヒョンデ車は約6000の販売店とショールームを通じて世界193カ国で販売されている。
歴史
20世紀
1967年に現代財閥(現代グループ)創業者の鄭周永が創立。翌年、米国のフォードより技術供与を受け、「フォード・コルチナ」のノックダウン生産を開始。その後、現代自動車は、小型車の開発をめぐってフォードとの技術供与関係に軋轢が生じたため、独自モデルの開発に踏み切ることとした。提携相手探しは難航したが、最後に訪問した三菱自動車が現代自動車の要望を聞き入れたため、小型車生産のための車体やエンジン、ギアなどの生産技術供与契約を締結し、技術確保の手段を獲得する[注釈 1][7]。1973年には、自社での自動車開発のためブリティッシュ・レイランドより招き入れたジョージ・ターンブル主導の下、複数の著名なイギリス人エンジニアも加わり、三菱自動車からの生産技術供与も相まって、1975年に韓国初の国産車「ポニー」を発売した(デザインはジウジアーロ、エンジン・プラットフォームは初代ランサーのものを流用)[7]。このポニーから海外での販売も開始し、1984年からカナダで一時期ベストセラーとなった。一方、アメリカでは厳しい排出規制をクリアできず販売されなかった。ポニーの発売以降も、三菱自動車との提携を継続し、三菱自動車が韓国自動車産業の基盤技術を提供したと評されるほどの技術供与を受けた[7][8]。デボネア、デリカ、パジェロ、ザ・グレート、エアロバスなどの数多くの三菱車ベースの車種や、三菱車のプラットフォームを流用し続け今の自動車会社としての地位を得る。1978年には三菱重工業と技術導入契約の下、自動車専用工作機械の製造を開始し、競争力を高めた[9]。1985年には累計生産100万台を突破。アメリカ合衆国へは1986年に進出し、小型乗用車エクセル1車種の販売から開始された。エクセルはフォーチュン誌により「Best Product #10」に選ばれた。受賞の主な要因としては値ごろ感が挙げられている。1988年販売のソナタでは、現代自動車の独自技術を用いるようになった。1990年、累計生産400万台を突破。1991年には独自のガソリンエンジンであるαエンジンと、トランスミッションの開発に成功。1996年、インドにヒュンダイ・モーター・インディアを設立、チェンナイ近郊に自動車生産工場が建設された。1998年より現代自動車を世界的ブランドに押し上げるためのイメージ一新策を開始。1999年、アジア通貨危機で経営破綻した起亜自動車を傘下に収め、現代-起亜自動車グループ(現代自動車グループ)が成立した。
1999年には鄭夢九が現代自動車グループのトップになり、品質、デザイン、長期的な研究開発への重点的な投資が行われた。10年間、10万マイルの保障など積極的なマーケティングキャンペーンがアメリカで開始された。
創立時より周永の弟・鄭世永が社長を務め、1999年まで会長・名誉会長であった。1970年に入社した夢九は叔父の下で勤務し、現代グループ子会社各社へ出向し社長を歴任する。夢九は1996年に現代グループ会長となり、1997年からのアジア通貨危機の後、1999年より現代自動車会長に就任した。1988年に入社した世永の子・鄭夢奎(大韓サッカー協会会長、元FIFA理事)は1996年より現代自動車会長であったが、経営権を本家の夢九に譲り渡し、以後の世永親子は独自に現代産業開発(HDC)グループを率いている。
現代自動車グループは、経済危機後の経営の混乱、現代グループ後継争いにより、2000年に現代グループを離脱し独立した財閥グループを形成した。
21世紀
当初は安価で粗悪という評価だったものの、相対的に安価な価格設定を維持しながらも品質向上に努め、その結果サンタフェが米国消費者満足度調査第1位に選定[10] されたり、アゼラが最も魅力的な車としてJDパワーの賞を獲得する[11] など一定の評価を得た。また販売奨励金や「キャッシュバック」、「10年10万マイル保証」(アメリカ合衆国における特別保証)などのキャンペーンで販売台数を伸ばし、現在では現代自動車は世界194の国と地域で販売される多国籍企業となった。
しかし、2006年には、ストの影響で国内・海外での月間販売台数が初めてGM大宇に抜かれた[12]。また、中国市場でも傘下の起亜自動車と共に販売台数が減少、シェアを前年3位から6位にまで落とし、トヨタ、ホンダのほか中国の独立資本系メーカー奇瑞汽車にも追い抜かれることとなった[13]。2007年にはウォン高による価格の高騰により在庫が増えていることや、労組のストライキによる損失、ゼネラルモーターズ等アメリカ自動車業界の価格引下げ攻勢や、トヨタを始めとする日本自動車業界による低価格車戦略により、北米などの市場でのシェアを奪われる形となった。10月には、北米・アラバマ工場で、ソナタの在庫の大幅な急増に伴い初の操業停止による生産調整を行った[14][15]。
しかしながら、このような逆風の中でも持ち前の攻撃的なマーケティングとデザインの大幅な改善により、2007年の累計販売台数は500万台を突破するまでになった[16]。売上は、過去最高となる30兆4890億ウォン(約3兆4000億円)を記録し、営業利益は47%増加、営業利益率も3年ぶりに6%台を回復した[17][18]。これにより現代-起亜自動車グループ全体の販売台数は世界第5位、アジアの自動車メーカーではトヨタグループに次ぐ第2位の規模になった[19]。デザイン改革においては、グループ全体として生産効率よりもデザインを優先することとし、起亜がアウディのチーフデザイナーだったペーター・シュライヤーを、現代がBMWのチーフデザイナーだったクリストファー・チャップマンをそれぞれ獲得し、両社のデザイン責任者に据えたことが影響している[20]。流体の彫刻をコンセプトにしたデザインコンセプトが世界で受け、現代自動車グループの立役者となったペーター・シュライヤーは、2012年12月に起亜自動車社長兼現代自動車グループの最高デザイン責任者に就任した。
ちなみに2009年1~7月の米国市場では、業界全体の販売台数が32%減と大幅に落ち込んだが、現代自動車は前年同期比7.9%減に踏みとどまった[21]。
とは言え、2012年末から、再びウォン高傾向とそれに反比例する日本での円安傾向、さらに後述する北米での燃費誇大表示問題等でブランドの信頼が揺らいだことや、海外市場で韓国車の競争力が低下したこともあり、2013年2月の韓国の国産車輸出は前年同月比15.1%減となり、同時に北米市場でのシェアも9%から7%に低下した[22]。稼ぎ頭である韓国国内市場においても、EUとのFTA締結のみならず、米韓FTAの発効に伴い、アメリカで生産される日本車も関税が軽減(将来的に撤廃)されることとなったため、シェアも2012年の販売台数は114万台と前年比2%減少した。一方で、日本車をはじめとする輸入車は販売台数を25%伸ばしている[23]。米韓FTAの恩恵を最も受けた車種と言えるトヨタ・カムリが韓国への輸入車として初の2013年韓国カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことも、韓国国内での現代自動車の求心力の低下を物語っているといえる[24]。さらに、2013年3月からは後述するとおり労働組合が『昼間連続2交代制』を実施し、生産効率の悪化だけでなく、さらなる労使関係の悪化をも招くと予想され、2013年4月3日には、現代自動車と起亜自動車がアメリカで販売した190万台以上の車両についてブレーキ灯とエアバッグの欠陥でリコールを行うことが報じられた[25]。これは現代・起亜にとって最大規模のリコールとなり、さらなるイメージ悪化は避けられないという見方もあり、現代自動車を取り巻く暗雲はしばらく晴れそうにないという見方もあった[26]。
実際には、世界景気の復調に伴い、グループ全体での販売台数を、2009年の414万台から5年で800万台に到達させている他[27]、近年のSUVブームの追い風を受け、ツーソンが世界販売SUV部門3位になる[28] など、実際にはそれほどイメージ悪化によるダメージを受けているわけでは無い。しかし、依然としてディーラーがこぞってインセンティブ販売(値下げ)を行っており、収益性の悪化に伴い経営難に陥る可能性が潜んでいることはたびたび指摘されている[29]。もっとも、北米は乗用車の新車はレンタカーの需要が極めて高い市場で、ビッグスリーを中心に同様に法人向けのインセンティブ販売が展開されているため、これは必ずしも現代自動車に限った問題ではない[30]。
このように販売面では多くの不安の残る現代自動車だが、技術面での成長は継続しており、2009年にはジェネシスが、2012年にはエラントラが北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している[31][32]。2015年11月4日には、元々高級車の車名として使われていた「ジェネシス」を、上級車ブランドとしてヒュンダイブランドから独立させることを発表[33]。併せて、ジェネシスを象徴する頭文字の「G」を名前の頭につけた新モデルを順次展開していく方針であることも発表された。これに伴い、現在のジェネシスは「G80」に、2017年下半期に新たに発表される中型セダンは「G70」と改名・命名された。また、追ってラグジュアリーSUVとスポーツクーペも加わり、2020年までに計6モデルが展開される。その一環として、まずは2015年12月9日に同社旗艦車種であるエクウスの後継車種にあたるジェネシス・EQ900(海外名:G90)を発表した[34]。このジェネシスは世界カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考にも残っている[35]。また、同じく2015年にはスポーツモデルである『N』シリーズを立ち上げ、2017年に第一弾のi30 Nの投入を開始している[36]。
環境関連技術では燃料電池車の開発に積極的で、2013年に燃料電池車仕様のツーソンのリース販売を開始。2018年には800km航続を可能とする量産燃料電池車のネッソを公開した[37]。ハイブリッドではアイオニックがトヨタ・プリウスPHVを上回る燃費を叩きだしている[38][39]。品質では、JDパワーの調査では新型車の初期不良に関してはまだ他社より多いが、全体的には日本車以上の評価を得ることも増えた[40]。安全技術でも2017年にはアメリカで最も安全な車の基準「トップセーフティーピックプラス」を満たした車種の数でSUBARUを上回ってトップに立った[41]。
2014年、競売に出された韓国電力公社の旧本社敷地を10兆ウォン超の価格で取得。2020年完成を目指して115階建ての本社ビルを建設中[42]。
2018年9月、鄭夢九会長の息子である鄭義宣が現代自動車首席副会長に就任。高齢の父は、一線を退き鄭義宣が事実上の経営トップとなった[43]。
2020年より、それまで世界各国で使用されていた呼称を現地読みの「ヒョンデ」に統一すると発表。日本では日本語の公式SNSアカウントが作成され、そこでの発表となった。
2020年12月23日から翌年1月7日まで、さらに2021年3月8日から数日間にわたり、牙山工場の操業を停止した。同工場で生産するソナタとグレンジャーの在庫が適正水準を超えたことによる措置[44]。
2021年2月25日、新規開発された次世代EV用プラットフォームを採用した「アイオニック・5」を発表。この席で、現代自動車の第3の柱として、かつて販売していたハイブリッドカーの名を冠したEV専用ブランド「アイオニック」を立ちあげ、2020年代前半にアイオニック5の他に2車種を出す計画があることも同時に発表した[45]。
2022年10月25日、アメリカジョージア州サバンナで電気自動車とバッテリーの工場を着工[46]。
2022年11月15日、ヒョンデ・タインコン・ベトナムがニンビン省で第2工場を本格稼働した[47]。
年表
- 1946年 - チョン・ジュヨン(鄭周永)が前身の現代自動車工業社を設立。
- 1967年12月 - 現代自動車を設立。
- 1968年 - フォード・モーターの協力の下、ノックダウン生産で初めての自動車フォードコルチナが製造された。
- 1975年 - 韓国初の国産車「ポニー」を発売。デザインはジウジアーロ、エンジンは三菱自動車製。
- 1984年 - 海外(カナダ)への輸出を開始。
- 1986年 - 排ガス基準をクリアし、アメリカでの販売を開始。
- 1996年 - インドに工場を設立。累計生産台数1000万台を突破。
- 1998年 - 経営破綻した起亜自動車を買収し経営統合。現代財閥が経営危機に陥る。WRC(世界ラリー選手権)に参戦開始。
- 2000年 - 現代財閥グループから分離。ダイムラー・クライスラーと資本提携。初の乗用車向けディーゼルエンジン・燃料電池車を開発。
- 2001年 - 日本法人「ヒュンダイモータージャパン株式会社」を設立。日本市場に本格的に進出開始。
- 2002年 - 日韓両国共催のFIFAワールドカップのオフィシャルパートナーになる。2006年のドイツ大会も同様。
- 2003年 - シーズン途中でWRCから撤退。ダイムラー・クライスラー、三菱自動車と合弁会社『グローバル・エンジン・アライアンス L.L.C.』設立。
- 2004年 - ダイムラー・クライスラーとの提携を解消。
- 2005年 - ユニクロとのコラボレーションでTシャツを日本で限定発売。
- 2006年 - 不正資金疑惑が発覚、チョン・モング(鄭夢九)会長らが逮捕される。ストによる生産停止の影響で、7月の月間販売台数でGM大宇に抜かれる。JDパワーの品質調査で3位を獲得。
- 2009年 - ジェネシスが北米カー・オブ・ザ・イヤー受賞。
- 2010年 - 日本市場から撤退。販売済み乗用車のアフターサービスと、商用大型バスのユニバースの販売のみ継続。
- 2011年 - グループでの販売台数がGMに次ぐ世界第4位に浮上。
- 2012年 - 北米市場で燃費誇大表示問題が発覚し、集団訴訟を行う顧客が急増する。エラントラが北米カー・オブ・ザ・イヤー受賞。
- 2013年 - 北米市場で起亜自動車を含めて190万台という最大規模のリコールを発表。
- 2014年 - WRCに復帰。ラリー・ドイチェランドで初の総合優勝を果たす。
- 2015年 - 高級車ブランド「ジェネシス」と高性能モデル「N」シリーズ立ち上げ。
- 2020年 - それまでのヒュンダイの呼称を現地読みの「ヒョンデ」に世界全体で統一。日本語公式SNSアカウントが作成される。
- 2022年 - 日本市場に再参入。オンライン販売のみ、ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)のみの展開で参入。
CIの変遷
-
漢字体ロゴ
(1974年 - 1990年10月25日) -
ハングル字体ロゴ
(1980年 - 1990年10月25日) -
現行CI
(1990年10月26日より)
注釈
- ^ 当時の現代自動車が世界の自動車メーカーに断られ続けて、最後に三菱自動車を訪れたところ久保富夫社長が供与してくれたため、社長が親韓派だった説を東亜日報は報じている。
- ^ 韓国では現代自動車など自国産業を保護するためアメリカ車の輸入規制、日本車への関税など、外国製自動車への規制を行っているのに対して、日本では工業製品については、無関税となっている。また、過去にはGM大宇(現在のGMコリア)製の乗用車、マティスやシボレー・オプトラ、雙龍自動車(現在のKGモビリティ)のムッソーなどが日本へ輸入・発売されたが、非常に僅かであり、ルノーサムスン(現在のルノーコリア自動車)はコレオスを投入しているが、エンジンや4WDシステムなど基幹部品は日産自動車とルノーが開発している。
- ^ ただし、日本国内にある東京事務所の登記上のカナ表記は日本語読みとした「ゲンダイ」となっている(法人番号:9700150082809)(2022年1月閲覧)。
- ^ 巷にはプロドライブが開発・オペレーションを行っているとする説があるが、実際はプロドライブの経験者が加入しているだけであって正しいとは言えない。
出典
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- ^ Hyundai Motor>Corporate>IR>Financial Information>Financial Statements>Annual Report 2011>131Page>Weighted average number of common shares outstanding
- ^ Hyundai Motor>Corporate>IR>Financial Information>Financial Statements>Annual Report 2011>72Page>Consolidated Statements of Income>Sales Revenue
- ^ Hyundai Motor>Corporate>IR>Financial Information>Financial Statements>Annual Report 2011>72Page>Consolidated Statements of Income>Operating income
- ^ Hyundai Motor>Corporate>IR>Financial Information>Financial Statements>Annual Report 2011>72Page>Consolidated Statements of Income>Profit for the year
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