好色一代男 好色一代男の概要

好色一代男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/10 00:26 UTC 版)

構成および主人公の設定は、『源氏物語[3]や『色道大鏡』からの影響を受けている。

あらすじ

あらすじは『新版近世文学研究事典』に拠る[4]。世之介の7歳から60歳に至る54年間を、1年1章ずつの形で表している[3]。巻5以降は、実在の遊女列伝的な体裁を取る[3]

巻1
京都の裕福な町人と高名な遊女の間に生まれた世之介は、7歳で侍女に戯れかけ、8歳で年上の従姉に恋文を送り、9歳には女の行水をのぞき見し、10歳で美少年を口説く。11歳で伏見の遊里で見出した浪人の娘を親元へ帰し、12歳で風呂屋の湯女、13歳で茶屋女と契る。
巻2
14歳で仁王堂の飛子と戯れ、15歳で京都の後家と契り、子どもができると逃げる。16歳で人妻に恋慕して手傷を負い、17歳で木辻の遊里に遊ぶ。18歳、若狭・若松に馴染み、うどん屋を開くが落魄。19歳、色好みを理由に勘当されて出家するが、長続きせず、20歳で大坂に戻って裏長屋の娘と結婚する。
世之介が15歳のときに生ませた子どもの世伝として、西鶴はのちに『諸艶大鑑(好色二代男)』を上梓している。
巻3
21歳で謡うたいとなって富豪楽阿弥に拾われ、22歳で九州に下り、23歳で大坂の蓮葉女にうつつを抜かす。24歳で大原の女と契り、25歳で佐渡に向かう途中の寺泊の遊女に戯れる。26歳で坂田へ出て、27歳で塩竃へ行き、舞姫を口説くが、その夫に片小鬢を剃られる。
巻4
28歳、信州追分で咎められて入牢。隣の牢の女と恋仲となる。29歳、女を連れて逃げる途中、女の親族と争って失神。女は死亡。30歳、かつての念友の家に泊まるが、女達の怨念に苦しめられる。31歳で奥女中の慰み相手となり、32歳で京都に上って色遊びを楽しみ、33歳で島原に行くが太鼓女郎にまで振られる。34歳、泉州佐野で船遊びの途中で遭難。父の死によって遺産を継ぎ、大々尽となる。
巻5
35歳、吉野太夫を妻とする。36歳で大津芝居を見学し、37歳で室津の遊女に心惹かれ、38歳で滝井山三郎と僧侶との恋を取り持ち、39歳で堺袋町、40歳で安芸宮島の遊里を見学。41歳、旧友と楽しみのない一夜を過ごす。
巻6
42歳、三笠と馴染む。43歳、夕霧と忍ぶ。44歳、藤波の一途な思いを知る。45歳には遊女の裏面を知り、46歳には初音の座配に感心し、47歳には吉田にやり込められる。48歳、2人の男を鮮やかにもてなす野秋に感心する。
巻7
49歳、高橋を愛し、50歳には京都中の末社を集めて豪遊。51歳、料簡の悪い遊女を懲らしめ、52歳で高尾太夫と忍び、53歳で和州と親しくなり、54歳で吾妻と契る。55歳の菊の節句には新町・島原と遊ぶ。
巻8
56歳、岩清水への厄神参りの夜宮に趣向を凝らし、57歳、小柴に逢う仕立物屋十蔵に同道、58歳で新町から島原へ移った吉崎の水揚を引受け、59歳には丸山で豪遊。60歳、ついに女護ヶ島へ船出する。

書誌

1682年(天和2年)、大坂の荒砥屋可心から大本8巻8冊で刊行された[4]。版下は水田西吟、挿絵は西鶴筆とされる。各巻7章(8巻のみ5章)、各章本文2丁半、挿絵半丁という整った形式を持っている[4]。この初刊本を上下裁断の上合本したものが国文学研究資料館に残る[1]。上方ではこれを含め3種の版があり、また江戸版も3種が出版された[3]。江戸版では菱川師宣が挿絵を手掛け、またこれと別に師宣の手になる絵本版も流通した[3]

現代では、校注付きの原文翻刻が多数出版されている。

また、現代語訳に以下の数種がある。

里見弴
  • 現代語西鶴全集 1 好色一代男(春秋社 1931年)
  • 世界文学選書 79 好色一代男(三笠書房 1952年)
  • 日本国民文学全集 12 西鶴名作集(河出書房 1955年)
  • 日本文学全集 9 西鶴名作集(河出書房新社 1961年)
  • 国民の文学 13 西鶴名作集(河出書房新社 1963年)
  • カラー版日本文学全集 6 西鶴・近松・芭蕉・蕪村・一茶・秋成(河出書房新社 1968年)
  • 現代語訳日本の古典 17 井原西鶴集(河出書房新社 1971年)
    • 改装版(河出書房新社 1979年)
  • 日本古典文庫 16 西鶴名作集(河出書房新社 1976年)
    • 新装版(河出書房新社 1988年)
暉峻康隆ほか訳
  • 現代語訳国文学全集 20 西鶴名作集 上(非凡閣 1937年) - 石割松太郎共訳
  • 好色一代男 (角川文庫 1956年)
  • 日本古典文学全集 38 井原西鶴集1(小学館 1971年) - 東明雅共訳
    • 新編日本古典文学全集 66 井原西鶴集1(小学館 1996年) - 東明雅共訳
  • 現代語訳西鶴全集 1 好色一代男(小学館 1976年)
  • 完訳日本の古典 50 好色一代男(小学館 1986年)
  • 小学館ライブラリー 現代語訳・西鶴 好色一代男(小学館 1992年)
後藤興善訳
  • 現代語完訳 西鶴傑作集 1 好色一代男(星光書院 1948年)
吉井勇
麻生磯次
  • 現代語訳西鶴全集 1 好色一代男・好色二代男(河出書房 1953年)
  • 現代語訳日本古典文学全集 24 西鶴名作集(河出書房 1954年)
  • 対訳西鶴全集 1 好色一代男(明治書院 1974年) - 富士昭雄共訳
  • 古典日本文学 21 井原西鶴集 上(筑摩書房 1977年)
吉行淳之介

外国語訳

  • 1959年にRichard Laneが論文Saikaku and Boccaccio の中に断片訳を掲載[5]
  • 1964年にKengi Hamada がThe life of an amorous manのタイトルでTuttleより刊(全訳ではない)[5]

  1. ^ a b c 宮本祐規子 (2020年2月6日). “国文研 千年の旅 『好色一代男』”. 古典に親しむ. 国文学研究資料館. 2023年11月10日閲覧。
  2. ^ 大久保忠国・興津要・小池正胤編 『西鶴作品編』おうふう、1969年4月、17頁。 
  3. ^ a b c d e 好色一代男』 - コトバンク
  4. ^ a b c 岡本勝・雲英末雄編 『新版近世文学研究事典』おうふう、2006年6月、42-45頁。 
  5. ^ a b 天野敬太郎「井原西鶴作品の外国語訳について」『国文学』第41巻、関西大学国文学会、1967年3月、 71-96頁、 ISSN 03898628NAID 120005685986
  6. ^ 中嶋隆編 『21世紀日本文学ガイドブック4 井原西鶴』ひつじ書房、2012年5月、2-45頁。 
  7. ^ 好色一代男 - 文化庁日本映画情報システム
  8. ^ 好色一代男 - 国立映画アーカイブ
  9. ^ 好色一代男 - KINENOTE
  10. ^ “少年社中「贋作・好色一代男」がマンガ化、矢崎広&毛利亘宏のインタビューも”. ステージナタリー. (2016年9月27日). http://natalie.mu/stage/news/203301 2016年9月29日閲覧。 


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