アヌシー国際アニメーション映画祭 アヌシー国際アニメーション映画祭の概要

アヌシー国際アニメーション映画祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/25 14:17 UTC 版)

アヌシー国際アニメーション映画祭
映画祭・野外プロジェクション(2014年)
イベントの種類 映画祭
開催時期 毎年6月
初回開催 1960年
会場 フランスアヌシー
主催 CITIAフランス語版[1]
公式サイト

概要

1960年カンヌ国際映画祭からアニメーション部門を独立させる形で創設され、アニメーション映画祭としては世界で最も長い歴史を持つ国際映画祭である[2]。また、同時に世界最大規模のアニメーション映画祭でもある[2][3]国際アニメーション映画協会映画芸術科学アカデミー公認。

当初は隔年開催であったが、1997年以降は毎年実施されている。コンペティション作品は市内の映画館のほか、夜間に野外でも上映される。また、それ以外にも古今の作品が巨大なスクリーンで上映されている。映画祭の花形は短編映画(短編作品部門)であり、最終日となる土曜日の夕方に各部門の受賞作品が発表される。

映画祭全体の特色としては、短編作品や長編映画、テレビシリーズなど多彩な作品が上映されるだけでなく、国際見本市や企画マーケット、カンファレンスワークショップなど、アニメーションに関するあらゆるイベントが開催期間中実施される[4]

国際見本市・MIFA

本映画祭には、世界最大規模のアニメーション国際見本市であるMIFA(Marché international du film d'animation)が併設される。2016年度には、世界68カ国から約1200社の企業が参加・出展した[2]

MIFAは、各国企業・団体の展示ブースのほか、企画のプレゼンテーションシンポジウム、コミュニケーションやトークスペース、記者会見、リクルートなど、様々な機能から構成[5]。また、ミーティングでは人材交流・情報交換の場として、基調講演を中心に、制作過程にある話題作を紹介する「ワーク・イン・プログレス(Work in Progress)」、実際の制作過程を披露する「メイキング・オブ(Making of)」などが行われる[5]

部門構成と賞

セル画やCGで作成された通常のアニメはもちろん、クレイアニメ、人形アニメ、切り紙アニメなども含む様々な技法で制作された作品が、部門ごとに審査される。最高賞はグランプリに相当するクリスタル賞[3]2017年度の応募作品数は、世界95カ国より計2850作品[6]

長編部門 (Longs métrages)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
  • 観客賞
  • 審査員特別賞
短編部門 (Courts métrages)
  • アヌシー・クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
  • 観客賞
  • 審査員特別賞
  • Off-Limits賞(実験作品賞)
学生部門 (Films de fin d'études)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
  • 審査員特別賞
テレビ部門 (Films de télévision)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞
広告部門 (Films de commande)
  • クリスタル賞(グランプリ)
  • 審査員賞

以上のほか特別賞として、「アヌシー市民賞」「アンドレ・マルタン賞」「CANAL+ Creative Aid賞」「国際映画批評家連盟賞」「子ども審査員賞」などが主に短編作品を対象に授与される。

短編部門グランプリ

開催年 題名 監督 製作国
1960年 ライオンと歌
Lev a písnička
ブジェチスラフ・ポヤル チェコスロバキア
1962年 飛ぶ男
The Flying Man
ジョージ・ダンニング イギリス
1963年 失敗作のニワトリ
Špatně namalovaná slepice
イジー・ブルデチュカ チェコスロバキア
1965年 お嬢さんとチェロ弾き
La Demoiselle et le Violoncelliste
ジャン=フランソワ・ラギオニ フランス
1967年 Arès contre Atlas マノロ・オテロ フランス
Klatki ミロスワフ・キヨヴィッチ ポーランド
Krotitelj Divlijih Konja ネデリコ・ドラギッチ ユーゴスラビア
呼吸
The Breath
ジミー・ムラカミ イギリス
1969年 開催されず[7] - -
1971年 アペル
Apel
リシャルト・チェカワ ポーランド
Nevesta Borislav Sajtinac ユーゴスラビア
The Further Adventures of Uncle Sam Dale Case
Robert Michell
アメリカ合衆国
1973年 フランク・フィルム
Frank Film
フランク・モーリス アメリカ合衆国
1975年 Le Pas ピョートル・カムラー フランス
1977年 ダビデ
David
ポール・ドリエセン オランダ
砂の城
The Sand Castle
コ・ホードマン カナダ
1979年 死後の世界
Afterlife
イシュ・パテル カナダ
ミスターパスカル
Mr. Pascal
アリソン・デ・ベア イギリス
1981年 タンゴ
Tango
ズビグニュー・リプチンスキー ポーランド
1983年 対話の可能性
Možnosti dialogu
ヤン・シュヴァンクマイエル チェコスロバキア
1985年 ギリシア悲劇
Een griekse tragedie
ニコル・ヴァン・ゲーテム ベルギー
1987年 木を植えた男
L'homme qui plantait des arbres
フレデリック・バック カナダ
Smachkan svyat Boiko Kanev  ブルガリア
1989年 丘の農家
The Hill Farm
マーク・ベイカー イギリス
1991年 狼と赤ずきん
Seryi Volk & Krasnaya Shapochka
ガリ・バルディン ソビエト連邦
1993年 大いなる河の流れ
Le fleuve aux grandes eaux
フレデリック・バック カナダ
1995年 スイッチ技術
Switchcraft
コンスタンティン・ブロンジット ロシア
1997年 老婦人とハト
La vieille dame et les pigeons
シルヴァン・ショメ フランス
1998年 夜の蝶
Nachtvlinders
ラウル・セルヴェ ベルギー
1999年 ある一日のはじまり
When the Day Breaks
ウェンディー・ティルビー
アマンダ・フォービス
カナダ
2000年 老人と海
Starik i more
アレクサンドル・ペトロフ ロシア
2001年 岸辺のふたり
Father and Daughter
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット オランダ
2002年 Barcode Adriaan Lokman オランダ
2003年 頭山 山村浩二 日本
2004年 ロレンゾ
Lorenzo
マイク・ガブリエル アメリカ合衆国
2005年 ジャスパー・モレロの冒険
The Mysterious Geographic Explorations of Jasper Morello
アンソニー・ルーカス オーストラリア
2006年 ハッピーエンドの不幸なお話
Histoire tragique avec fin heureuse
レジーナ・ペソア ポルトガル
2007年 ピーターと狼
Peter & the Wolf
スージー・テンプルトン イギリス
2008年 つみきのいえ 加藤久仁生 日本
2009年 奴隷
Slavar
ダーヴィッド・ アローノヴィチ
ハンナ・ハイルボーン
 スウェーデン
2010年 ロスト・シング
The Lost Thing
アンドリュー・ルヘマン
ショーン・タン
オーストラリア
2011年 ピクセル
Pixels
パトリック・ジャン フランス
2012年 トラムドイツ語版
Tramvaj
ミハエラ・パヴラートヴァー  チェコ
2013年 潜在意識のパスワード・クイズショー
Subconscious Password
クリス・ランドレス カナダ
2014年 椅子の上の男
Man on the Chair
チョン・ダヒ 韓国 フランス
2015年 Mi ne mozhem zhit bez kosmosa コンスタンティン・ブロンジット ロシア
2016年 Une tête disparaît フランク・ディオン カナダ フランス
2017年 Min Börda ニキ・リンドロス・フォン・バール  スウェーデン
2018年 Bloeistraat 11 ニンケ・ドゥーツ ベルギー オランダ
2019年 忘れられない
Mémorable
ブリュノ・コレ フランス
2020年 The Physics of Sorrow セオドア・ウシェフ カナダ
2021年 Écorce Samuel PATTHEY Silvain MONNEY スイス
2022年 Amok Balázs TURAI  ハンガリー ルーマニア
2023年 27 Flóra Anna Buda フランス ハンガリー

  1. ^ Annecy > About > Who are we? > Team”. CITIA. 2017年6月23日閲覧。
  2. ^ a b c “仏アヌシーの国際アニメーション見本市、来場者数12年連続増、オランド大統領も視察”. アニメ!アニメ!ビズ. (2016年6月18日). http://www.animeanime.biz/archives/22813 2017年6月11日閲覧。 
  3. ^ a b “アヌシー国際映画祭2016、長編グランプリは孤児描いたフランス・スイス合作”. 映画ナタリー. (2016年6月19日). https://natalie.mu/eiga/news/191452 2017年6月11日閲覧。 
  4. ^ 塩田周三氏 アヌシー国際アニメーション映画祭の審査員に就任”. アニメ!アニメ!ビズ. 2017年6月11日閲覧。
  5. ^ a b “世界最大のアニメーション映画祭の意外な素顔:アヌシー国際アニメーション映画祭の戦略(前編)”. アニメーションビジネス・ジャーナル. (2016年12月24日). http://animationbusiness.info/archives/1671 2017年6月11日閲覧。 
  6. ^ アヌシー国際アニメ映画祭「夜明け告げるルーのうた」など日本アニメ3作品が長編コンペ入り”. アニメハック. 2017年6月22日閲覧。
  7. ^ Annecy > About > Who are we? > History”. CITIA. 2017年6月23日閲覧。
  8. ^ a b 「ジョバンニの島」アヌシーで審査員特別賞 CM賞グランプリにロボット・新井風愉「Tissue Animal」 - アニメ!アニメ!(2014年6月15日)
  9. ^ 日本アニメ3作、アヌシー映画祭で受賞!『ジョバンニの島』が審査員特別賞 - シネマトゥデイ(2014年6月17日)
  10. ^ 原恵一監督「百日紅」、アヌシー国際映画祭で長編部門審査員賞を受賞”. アニメ!アニメ! (2015年6月21日). 2015年6月21日閲覧。
  11. ^ 『夜明け告げるルーのうた』アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞!『この世界の片隅に』は審査員賞”. 2017年6月21日閲覧。
  12. ^ “山村浩二監督「幾多の北」がアヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞受賞 日本人の受賞は初”. 映画.com. (2022年6月24日). https://eiga.com/news/20220624/15/ 2022年6月28日閲覧。 
  13. ^ “「夏へのトンネル、さよならの出口」がアヌシー国際アニメーション映画祭で受賞”. コミックナタリー. (2023年6月18日). https://natalie.mu/comic/news/529271 2023年6月23日閲覧。 


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