圧縮空気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/24 01:36 UTC 版)
圧縮空気(あっしゅくくうき、英: compressed air)とは加圧することにより体積を縮小させた空気である。圧搾空気(あっさくくうき)ともいう。圧縮された空気の圧力と大気圧の差により発生する力を利用して鉄道車両のドアなどの自動開閉装置や空気ブレーキ、原動機、エアブラシなどに利用されている。これらの圧縮空気を原動力とした機械を空圧機械と呼ぶ。また液体や粉末の散布、ばら積み貨物の荷役などに広く利用されている。
生成方法
機械式
圧縮機を使用して圧縮空気を生成する方法。圧縮機の動力には電気モーターまたは内燃機関等が使用される。工場などで据え置きの場合には運用コストが安い電動モーターが多く使われる。化学消防車等、野外で粉末を散布するような用途には内燃機関が使用される。また化学プラント等の、停電時でも動作する必要がある装置装置を制御する空圧機械に使用する場合にも内燃機関が使用される。
手動式
人力で圧縮機または空気ポンプを動作させて、圧縮空気を生成する方法。手で動作させる方法と足踏み式がある。農業などで使用する小型の粉末や液体を散布する装置や玩具等で使用される。
供給方法
組み込み方式
圧縮空気を必要とする装置の内部に圧縮機を組み込む方式。
配管方式
金属製のパイプ及びゴムホース等を利用して圧縮空気を供給する方法。大きな出力や精密な制御を必要としない複数の装置の動力源として圧縮空気を使用すると、圧縮機が一つで済むため運用コストが安くなる。工場で広く使用されている。
カートリッジ方式
圧縮空気をカートリッジや小型のタンクに閉じこめて供給する方法。ダイビングや空気銃などに使用される。殺虫剤や化粧品などに使用されるスプレー缶のほとんどはエアロゾルを利用したものであり、圧縮空気とは異なる。
圧縮空気の応用
工業用
- 動力用
- 漏電や放電などが火災及び爆発などの災害を引き起こす可能性が高い工場において、電気を利用した動力の代わりに使用される。また食品加工などの工場において大量の水を使用する行程では簡易な防水で済む空圧機械が使用される場合が多い。
- 補助動力用
- 工場の生産機械等において二点間を単純往復するような機構が多く使われるが、それらの動力源として電磁弁とエアシリンダーの方がモーター等他の動力源よりも機構が簡単になるため多く用いられている。また圧縮空気を吹きかけることにより加工物等を移動させる機構が用いられることもある。
- 洗浄用
- 空気を吹き付けて、ゴミなどの不要な付着物を除去するために圧縮空気が使用される。
医療用
- 歯科において歯を削るドリルの動力源として使用されている。
交通機関
その他
- 無火機関車の動力の一つとして用いられている。
- 遊園地のアトラクションの動力として用いられている物がある。
- 富士急ハイランド - ド・ドドンパ、レッドタワー
- さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト - 大空天国
- よみうりランド - クレージーヒューストン
- ナガシマスパーランド他 - スペースショット
- 蒸気機関車を動態保存するための動力源に圧縮空気が用いられている箇所がある。(動態保存中の蒸気機関車の項を参照)
- 転覆した船舶の復元、転覆した船内に閉じ込められた者の救助のために使用されることがある[1]。
圧縮空気の品質 ISO8573-1
圧縮空気の品質、すなわち清浄度については様々な規格が存在するが、一般的にはISO8573-1 (JIS B 8392-1) が適用される。 圧縮空気中の主要な汚染物質は、①固体粒子・②水・③オイルの3種類で、これらの「清浄等級」が規定されており、
- ①固体粒子は、粒子サイズ0.1 - 5 μmの、それぞれの単位体積中の最大粒子数
- ②水は、液体と蒸気の両方で圧力露点 ℃
- ③油は、エアロゾル (aerosol) と蒸気の両方で、単位体積中の総濃度 (mg/m3)
で等級分けされている。
ガス状汚染物質や微生物汚染物質の等級はこの規格では規定されていないが、微生物(細菌・酵母及び真菌、microbiological contaminants)は、試験規格ISO 8573-7(JIS B 8392-7)による単位体積あたりのコロニー個数を意味するCFU (Colony Forming Unit)が示されている。ただしこの規格は、呼吸用・医療用・食品及び飲料製造用の空気には適用されない。あくまで一般の工業用圧縮空気に適用されるものである[2]。
脚注
- ^ 圧搾空気送り込む 脱出した機関長『朝日新聞』1968年(昭和43年)3月2日朝刊 12版 15面
- ^ https://kikakurui.com/b8/B8392-1-2012-01.html
関連項目
参考資料
圧縮空気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 08:07 UTC 版)
草創期に成功を収めた推進方式のひとつに圧縮空気を用いたものが挙げられる。圧縮空気は2.55Mpaに保持され、その空気をピストンエンジンに送って1機のスクリューを毎分100回転させた。約180mを平均速度6.5ノット(時速12km)で推進するものであった。1906年に Whitehead が製作した魚雷は1000mを推進し、平均速度は35ノット(時速64km)に達する。高圧の空気が膨張すると周りの熱を奪い機関が凍結する問題が生じたが、海水を使って暖めることで解決し、性能向上につながった。
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「圧縮空気」を含む「魚雷」の記事については、「魚雷」の概要を参照ください。
「圧縮空気」の例文・使い方・用例・文例
- この機械は圧縮空気で運転する.
- 圧縮空気によって作動する乗物のブレーキ
- 圧縮空気によってペンキを噴射する噴霧器
- 圧縮空気で動かすハンマ
- 酸素あるいは圧縮空気用の筒状容器
- 自動車のタイヤは普通ゴムでできていて圧縮空気が入っている
- 圧縮空気
- 圧縮空気を入れた容器室
- 動力や制御などに用いる,圧縮空気
- 圧縮空気のエネルギーを動力に利用した工具
- 圧縮空気の力で車輪を制動する装置
- 圧縮空気を駆動力とするドリル
- 圧縮空気の力を利用した機械ハンマー
- ジュールトムソン効果という,圧縮空気による温度降下現象
- 圧縮空気の力で導管を通して書類や伝票などを送る装置
- 砂や鋼粉を圧縮空気とともに吹きつける機械
- 圧縮空気という空気
- 圧縮空気の噴出力を利用したポンプ
圧縮空気と同じ種類の言葉
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