粒子線治療
英語:particle beam radiation therapy、particle beam、ion beam radiation therapy、ion beam radiotherapy
陽子などの高いエネルギーを持つ粒子を照射し、がんの除去を行う放射線療法のこと。同じ放射線療法でも、X線やガンマ線などの「光子線」を用いた治療とは区別される。
粒子線治療では、主に水素原子核(陽子線)と炭素原子核(炭素イオン線)が用いられている。陽子より重い原子核からなる「重粒子線」が粒子線治療に用いられることもある。
粒子線は線量のピークがX線などの光子線と異なっており、体内の腫瘍に対する線量集中性に優れているとされている。その性質を利用して、健全組織への照射を最小限に抑えることができるほか、体内の奥深くにある腫瘍への照射も可能になっている。また、がんの中には放射線に対して抵抗性を持つものがあるが、粒子線を利用することで除去することができる場合もあるとされる。
粒子線治療は患者への肉体的、精神的負担が軽く、外科手術に匹敵するほどに優れた治療成績の報告もある。しかし、粒子線治療は比較的新しい治療法であることから、保険が適用されない場合があり、患者の金銭的負担が重いことが課題となっている。先進医療に保険が適用されるためには、その治療法が広く普及することが条件になることから、粒子線治療を行う医療機関の増加が望まれているが、粒子線治療に用いられる装置は高価であり、施設の建設費も数十億円から百億円以上に及ぶ。
ピー‐ビー【PB】
粒子線
(particle beam から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 04:46 UTC 版)
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粒子線(りゅうしせん、英語: particle beam)とは、主にレプトン、ハドロン、(イオン化された)原子や分子などの粒子によるビームである。つまり、粒子が束状になって進んでいく状態である。
粒子線の代表的なものとして、電子線、陽子線、重粒子線、中性子線などがある。
利用
電子線は身近なものではテレビのブラウン管やプラズマテレビなどの放電式表示装置、研究や製造分野では、光学顕微鏡よりも高倍率で被写体深度の深い観察ができる電子顕微鏡、半導体マスク製造やウェハーなどへの直接描画による微細なパターンを形成するための電子線描画装置などに用いられる。
中性子線は物性物理学において結晶構造や磁気構造の解析(中性子散乱)の手段として利用されている。 また、イオン化した原子、分子などの粒子線を表面に当てて、表面構造を解析する手法(イオン散乱)も存在する。
荷電粒子の粒子線を人工的に作り出すためには加速器(シンクロトロン)が用いられる。
安定な放射性同位体を核破砕反応を使ってRIビームにする技術もあり、短寿命な放射性同位体の研究に利用されている。
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