VTECのバリエーション
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「VTEC」の記事における「VTECのバリエーション」の解説
DOHC VTEC 1989年4月19日に発売されたインテグラに初めて搭載された。吸気側、排気側ともに二段のカムシャフトを備えており、バルブタイミングとリフト量を変化させる。以後、i-VTECが登場するまでは、高回転・高出力型エンジンのみの設定であった。 基本的な仕組みは以下のとおりである。カムは高回転用・低回転用の2種類を同じシャフトに隣接して備える。バルブはカムの直押しではなく、同じく2種類のロッカーアームをそれぞれ間に挟んでいる。このうち、バルブに直接接しているロッカーアームは低回転用のみで、高回転用は低回転時において空振りするようになっている。高回転時はピンが油圧によってロッカーアームを貫き、低回転用と高回転用の動きを同調させる。この際、カムがロッカーアームを押し下げるにあたって、カム山は高回転用の方が大きいため、今度は低回転用カムがロッカーアームに届かず、空振りする。これにより、高回転用カムによる動作が高回転用ロッカーアーム、さらにはピンを介して低回転用ロッカーアームへ伝わることで、バルブの動作は高回転用カムに従う。この動作はエンジン油圧・エンジン温度・車両速度・エンジン回転速度とスロットル位置などを考慮し、ECUでコントロールされる。 インテグラの他、シビック/CR-Xが、B16A型エンジンを搭載し日本とヨーロッパで販売された。北米には、1990年にアキュラ・NSXがC30A型エンジン(3.0L V6)を搭載し販売された。他の車両では、1992年のアキュラ・インテグラ(B17A型 1.7L 直4)、1993年のプレリュード(H22A型 2.2L 直4)やCR-X delSol(B16A型)などに採用されている。 SOHC VTEC 1991年9月10日に発売された5代目シビックに初めて搭載された。吸気側のみのバルブタイミング・リフト量を変化させる。DOHC VTECに対して発表当時は単にVTECとのみ表記された。以後、ホンダ車の大衆エンジンに広く用いられる。カム切り替えに関する機構の面ではDOHC VTECと共通である。 VTEC-E 上述のSOHC VTECと同時にシビックに初めて搭載された。2つあるSOHCエンジンの吸気バルブのうち、片方をほぼ休止させることによりリーンバーン運転を行う。 3ステージVTEC 1995年9月4日に発売された6代目シビックに初めて搭載された。SOHC VTECとVTEC-Eを統合したもので、低回転域では吸気バルブのうち片方をほぼ休止してリーンバーン運転を行い、中回転域では吸気バルブ2バルブ運転、高回転域では高速カムによる運転を行う。 シビックのモデルチェンジにより一時ラインナップから消えたが、2005年9月20日に発表されたシビックハイブリッドでは3ステージi-VTECとして復活した。これはハイブリッドカー向けのIMAシステムとの連携最適化を見据えたもので、減速時に全気筒休止を行うように改良されたものである。 i-VTEC 2000年10月26日のストリームの発表において、VTCを採用したK20A型エンジン(2.0L 直4)に初めて搭載された。 以後、同社のカム切り替え機構を備えたエンジンはi-VTECと称され、VTCに限らず何らかの新機軸を盛り込んだVTECのことを指す。そのため、名称は同じでも機構面ではいくつかのバリエーションが存在する。2002年10月10日にK24A型エンジン(2.4L 直4)がアコードとアコードワゴンに搭載された。2003年6月18日にはVCM仕様のJ30A型エンジン(3.0L V6)がインスパイアに搭載された。2007年10月18日にはVTEC-E仕様のL13A型ならびにSOHC VTEC仕様のL15A型が2代目フィットに搭載された。 A-VTEC advanced-VTEC 2005年、3年以内に導入するとホンダからアナウンスされた。連続可変バルブリフトを実現するものであるが、現在まで搭載された車種は発売していない。 VTEC TURBO エンジンのダウンサイジングを目指し、ターボチャージャーを組み合わせたもの。2013年11月に開発発表された。2.0L、1.5L4気筒、1.0L3気筒の3種類がある。2015年4月23日に発表されたステップワゴンにはVTEC TURBO 1.5L(150PS、20.3kgm)が搭載され、従来の2.0Lエンジン同等のパワーをうたう。2016年に発売されたCR-Vには、同じ1.5Lモデルで、従来の2.4L並み(190PS、24.0kgm)のパワーをうたうモデルが搭載された。また、同年秋に発売のシビックタイプRにはVTEC TURBO 2.0Lが搭載され、最高出力:235kw(320PS)、最大トルク:400Nm(40.8kgm)と高出力を発揮している。 なお、"VTEC"TURBOと名称付けられてはいるが、1.5Lモデルではカム切り替えによる可変バルブリフト制御は行っておらず、吸排気VTCによる位相変化の可変バルブタイミングのみである(2.0Lモデルでは吸排気VTCに加え排気側バルブのみ可変バルブリフト制御を行っている)。
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