ICテレホンカード
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「テレホンカード」の記事における「ICテレホンカード」の解説
1999年(平成11年)、日本で横行する『偽造テレホンカード対策』の切り札として、ICカードを利用したICテレホンカード(ICテレカ)とこれに対応するICカード式専用公衆電話機が登場した。30度数・50度数・105度数・210度数・320度数の5種類があった。このうち、30度数と50度数は注文を受けて製作する商品であり、一般に流通していたのは105度数と210度数のカードであった。ICカード規格としては ISO/IEC 14443 Type Aを採用しており、日本で広く普及したFeliCaとは異なる規格であった。また、ICカードの特徴を活かし、2枚重ねての利用も可能であった。 「ICカードであるゆえに従来の磁気カードのような偽造はほぼ不可能」と発表され、105度数を超える高額テレホンカードも210度数と320度数で復活するなど鳴り物入りで登場したICテレカであったが、以下のような問題があった。 互換性の問題ICテレカには従来の磁気カードとの互換性がなく、専用のICテレカ対応公衆電話機でしか利用できず、ICテレカ対応電話機では従来の磁気カードは利用できない。 専用公衆電話の設置台数が少ない専用公衆電話の設置台数は従来型の1割程度にとどまったため、公衆電話を利用するにはICテレカだけではなく、従来の磁気テレカも持ち歩く必要があった。 有効期限の問題ICテレカには有効期限が設定されており、有効期限を過ぎたカードは使用できない。ただし有効期限到来後5年以内のICテレカはその残度数に相当する磁気テレカと交換することで、従来型公衆電話で引き続き使用できた。 独自機能の問題ICテレカにテレカそのものに電話番号を記録させる機能があった。30度数・50度数・105度数・210度数には電話番号を1つだけ記憶でき(ダイヤルメモ機能)、320度数には電話番号を10件登録できる(電話帳機能)が利用できたが、ダイヤルメモと電話帳の両機能は別々の機能であり、記録した電話番号の引き継ぎはできず、特段便利といえるものではなかった。 入手性の悪さ購入方法はICテレカ対応電話機そばに設置された自動販売機、あるいは電話機近辺の売店等のみに限られ、磁気テレカに比べて入手性が著しく劣った。 残り度数の確認方法の問題使用中にパンチ穴があき、残り度数の目安を目視で確認できる磁気式テレカと違い、ICテレカには残り度数を利用者側で確認する仕組みがなかった。手元のICテレカの残り度数を確認するにはICテレカ対応公衆電話を探し出して手元のカードをかざし、電話機のディスプレイに残り度数を表示させる必要がある。 知名度の低さICテレカは対応する公衆電話機の少なさや期限内に使い切る必要があるなどの利用者側のデメリットが目立つ。その一方、ICテレカのメリット(電話番号の記憶機能や105度数超の高額カードの復活など)や有効期限切れ時の対応などは十分に周知、広報されておらず、知名度の点で磁気テレカに遠く及ばなかった。 このほか カードそのものの耐久性が低く、表層が剥がれ落ちてカード内部のICチップが破損するおそれがあった。 という問題も指摘されている。 2002年(平成14年)に開催されたFIFA WORLD CUP KOREA JAPANではノベリティーとして記念ICテレカが販売されたものの、先に挙げたデメリットが災いし、ICテレカの利用状況は低迷し続け、縮小から消滅に至った。 まずICテレカの券種のうち、30度数・50度数・210度数・320度数が販売を終了し、105度数のみの販売となった。ICテレカ登場から9年後の2006年(平成18年)3月末にICカード公衆電話サービスが終了し、ICテレカも廃止された。ICテレカ対応公衆電話機は撤去され(ICテレカ・硬貨併用を含む)、磁気テレカ対応公衆電話機もしくは硬貨専用公衆電話機のみが残ることになった。 ICカード廃止後も磁気カードの交換申し込みは従来通り、有効期限到来後5年以内に限り対応した。最後に発売されたICテレカである有効期限2011年(平成23年)9月30日のICテレカが2016年(平成28年)9月30日をもって交換期限満了となり、ICテレカの交換業務はすべて終了した。
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