FX4シリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:24 UTC 版)
BMCが1958年に開発した新型タクシーのオースチン・FX4(Austin FX4)は、その後製造メーカーの所属変更・改良を重ねながらも1997年まで40年近くにわたって累計約75,000台が生産され、世界的にロンドンタクシーとして知られたモデルである。FX3までの前後固定車軸、機械式ブレーキ、運転席横のオープンな荷物置き場といった古典設計が廃され(荷物置き場については法規制が緩和された結果の廃止である)、前輪独立懸架と油圧ブレーキ、幅広な車体に通常の助手席とドアを備えた運転台の採用で大いに近代化されたが、補助席を持つ広い客室と、小回りの利く設計という伝統は踏襲された。ボディ架装は引き続きカーボディーズ社が担当した。 エンジンはFX3での実績と英国の商用車におけるディーゼルエンジン普及を背景に、当初からオースチン製2.2Lディーゼルエンジンとされ、経済性で有利なことから以後歴代のほとんどがディーゼルエンジン仕様となった。その後 1971年には 2.5 Lディーゼルが採用された。また、1982年の FX4R はランドローバー製 2.2 L、1985年の FX4S は 2.5L を搭載、1989年 の“Fairway”シリーズでは日産製TD27型を搭載するようになっているFX4 の中には、パーキンス(英語版) / マツダ製の 3.0 L ディーゼル(HA系(パーキンス・4.182エンジンのライセンス生産)、2トントラック用)に換装されたものがあり、非常にパワフルで信頼性に富んでいるが、アイドリング振動と発生トルクの大きさで、シャシに亀裂が入ることがあった。1962年にはオプションでオースチン製2.2Lガソリンエンジンが設定されたが、1973年に廃止されている。またFX4は当初からボルグ・ワーナー製自動変速機(AT)をオプション搭載できたが、当初はマニュアルトランスミッションが主流で、ロンドンタクシーのほとんどがディーゼルエンジンと自動変速機の組み合わせとなったのは1970年代以降である。 BMCが企業再編で1966年にブリティッシュ・モーター・ホールディングス(BMH)、さらに1968年にブリティッシュ・レイランドとなっても、FX4シリーズはタクシー業界の固定需要と、基本的な完成度・信頼性の高さによって生産が続行され、同車はイギリス全土で標準型タクシーとして広く普及した。 この間、1971年にはFX4のシャーシ生産設備もブリティッシュ・レイランドからカーボディーズに移管され、ボディとシャーシ双方をカーボディーズが一貫生産するようになった。そしてブリティッシュ・レイランドの経営難により、1982年にFX4の製造権自体もカーボディーズに移り、正確にはこの時点でオースチンの名称が外れている。また1970年代から1980年代にかけ、カーボディーズはFX4の後継モデルの開発を幾度か試みたが、この時点では結局頓挫した。 FX4の生産はカーボディーズがマンガニーズ・ブロンズ社の傘下に入ってロンドンタクシー・インターナショナル(LTI)に改称した1984年以降も続行され、後継の新世代ロンドンタクシーとなるTX1の発売で1997年にようやく世代交代が果たされた。FX4の「ロンドンタクシー」としてのイメージがあまりに強く定着していたため、TXシリーズもデザインモチーフはFX4風のレトロモダンデザインを採用した。
※この「FX4シリーズ」の解説は、「ロンドンタクシー」の解説の一部です。
「FX4シリーズ」を含む「ロンドンタクシー」の記事については、「ロンドンタクシー」の概要を参照ください。
- FX4シリーズのページへのリンク