FCC のブロードバンド政策綱領
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「ネットワーク中立性」の記事における「FCC のブロードバンド政策綱領」の解説
2005年、アメリカ連邦通信委員会 (FCC) はブロードバンド政策綱領(インターネット政策綱領とも)を発表し、「ブロードバンド展開を促進し、公共のインターネットのオープンで相互接続された性質を保持し促進するため、消費者には次の4つの権利が与えられる」とした。 合法なインターネットコンテンツに自由にアクセスする権利 法が許す範囲で、自由にアプリケーションを実行しサービスを利用する権利 ネットワークを傷つけない合法な手段で自由に接続する権利 ネットワークプロバイダ、アプリケーションプロバイダ、サービスプロバイダ、コンテンツプロバイダを選択する権利 これらの要点は「任意の合法なコンテンツ、任意の合法なアプリケーション、任意の合法なデバイス、任意のプロバイダ」とまとめられる。オバマ大統領は2009年アメリカ復興・再投資法でブロードバンド基盤整備とオープン性の確保に72億ドルの予算を計上した。FCCのヒアリングで全米有線テレビ事業者連盟は、必須のオープン性確保のためにFCCが2005年に発表したインターネット政策綱領の4つの原則を採用すべきだと勧めた。 2008年、FCCがテレビ放送のデジタル化に伴って空く700MHz帯を競売にかけた際、Googleは次の4つの条件を獲得事業者に課すなら46億ドルで入札すると約束した。 オープンなアプリケーション - 消費者は好きなソフトウェアアプリケーション、コンテンツ、サービスをダウンロードまたは利用できるべきである。 オープンなデバイス - 消費者は好きな携帯情報端末を利用できるべきである。 オープンなサービス - 第三者(再販業者)は適度に差別的でない契約に基づき、700MHz帯の免許所有者から無線サービスを取得できるべきである。 オープンなネットワーク - ISPなどの第三者は、700MHz帯の免許所有者の無線ネットワークと技術的に可能な範囲で相互接続できるべきである。 これらの条件はFCCのインターネット政策綱領に大まかに類似している(FCCの綱領でのアプリケーションとコンテンツについての条項は1つにまとめられ、サードパーティのプロバイダによるアクセス要件が追加されている点が異なる)。FCCは、そのうちオープンなアプリケーションとオープンなデバイスだけを条件として採用した。 2009年9月、FCC会長 Julius Genachowski は、2005年の政策綱領に2つの規則を追加することを提案した。すなわち、どのようなコンテンツまたはアプリケーションも差別してはならないとする無差別原則と、ISPがそれらの方針をすべて顧客に明らかにすることを要求する透明性原則である。また、無線プロバイダも有線のプロバイダと同等のネットワーク中立性を守るべきだと主張した。 2009年10月、FCCは次の段階へ進めるため、ネットワーク中立性に関する提案された規則を承認した。 2010年5月、FCCがネットワーク中立性推進の努力を弱めるとみられていたが、FCCは戦いを継続することを発表した。コムキャストへの是正命令が連邦裁判所でくつがえされたため、ネットワーク中立性の強制はできなくなるだろうとみられていた。しかしFCC会長 Julius Genachowski の下でFCCはブロードバンドのインターネット・アクセス・プロバイダを再分類し、電話事業者と同じ規則に従わせることを提案した。この調整は「課金、習慣、分類、規則、設備、サービスにおける不公平または不当な差別」を防止することを意図したものである。 2010年12月21日、FCCはケーブルテレビや電話のサービスプロバイダが、競合他社やネットフリックスなどの特定のウェブサイトにアクセスできないようにすることを禁ずる新たな規則を承認した。無線プロバイダにもより制限された責務が課せられた。これらの規則は高速アクセスへの課金を妨げるものではない。共和党はアメリカ合衆国議会での立法によってこの規則を取り消す計画を発表した。ベライゾンはFCCを提訴する予定だとし、FCC会長の元補佐官 Colin Crowell はそのような提訴は「必然的」だとした。
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