CTVビルの崩壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 22:12 UTC 版)
「カンタベリー地震 (2011年)」の記事における「CTVビルの崩壊」の解説
CTVビルは1988年に竣工した6階建て鉄筋コンクリート造りの商業ビルであった。2011年2月時点のテナントは以下の通り。 1階 - 東側に地元テレビ局カンタベリー・テレビ(CTV)が入居。西側は屋内駐車場 2階 - CTV 3階 - 空室 4階 - 語学学校が入居 5階 - 医療センターと臨床心理学者の仮事務所、頭髪治療クリニックが入居 6階 - 半分にカウンセリング機関が入居。残りは空室 地震発生直後、北側のエレベーター棟を残して全層が水平に落下する形で倒壊し出火した。ビル内にいたCTV社員、語学学校の生徒・講師・社員、医療センターの患者・医師・看護師、カウンセラー、警察職員らが巻き込まれ115名が死亡、1か所における最大の被害を出した。この地震で日本人・中国人をはじめとした外国人の被害者が多かったのは、4階の語学学校が昼休み時間で多くの留学生が在室していたためである。 CTVビルは2010年9月の地震で複数の亀裂が生じ、2010年末から始まった隣接ビルの解体工事の衝撃で亀裂が拡大していたことが明らかになっている。 2011年2月28日、CTV会長が地震の前日に隣接建物解体工事の一環としてCTVビルの壁に穴が開けられていたと述べたことが明らかになった。 2010年9月の地震の後、クライストチャーチ市が行った建物の外観調査の際、CTVビルに対して安全であることを示す「緑」の判定を下されていた。この調査は、国の指針に反し、緑の判定には建築技師が関わっておらず、市の担当職員だけで行われており、十分な調査が為されなかった。 2011年2月28日、クライストチャーチ市長と建設担当者は会見で、内部の損傷に関してはビル所有者の管轄であり、最終的な責任についても同様であると述べた。市長はCTVビルの崩壊要因について、前年から大きな縦揺れを含んだ地震動を引き起こす地震が続いたことを指摘した。 3月3日、ニュージーランドのジョン・キー首相は、CTVビルの崩壊について警察の捜査対象になる見込みであることを示した。また、独立した調査組織である王立委員会を設置し徹底調査をする方針を明らかにした。 2012年2月9日、ニュージーランド建築住宅庁はカンタベリービルの崩壊要因が「激しい横揺れ」、「柱の弾力性と強度の欠如」、「耐震壁の非対称の配置」であり、さらに柱と耐震壁が建築された1986年当時の基準を満たしておらず、構造上の欠陥があったと発表した。 2012年12月10日、ニュージーランド政府の独立機関であるカンタベリー地震王立委員会は調査結果を公表し、原因は不適切な設計と施工にあるとした。 クライストチャーチ市のダルジール市長は、2020年2月にビル倒壊犠牲者の遺族と面会し(23日クライストチャーチ、25日東京、26日富山)、非公開で謝罪した。27日には公式に謝罪する動画と文書を発表した。
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