ATO試験
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日比谷線では、過去に長期間にわたって自動列車運転装置 (ATO) の試験運転が実施されていた。 詳細は「営団3000系電車#ATO試験」を参照
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ATO試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 15:00 UTC 版)
日比谷線において採用されたATC装置は当時新しい保安システムであり、さまざまな問題等も懸念されたが、従来のATS装置よりも安全性が高いことや電子技術の進歩などからシステムの信頼性が証明された。 このATC装置の採用により列車の間隔制御や勾配、分岐器における速度制限を超えない運転が保障されており、このATC装置をさらに発展させた次期保安システムとして列車運転を自動化させた自動列車運転装置(ATO)の可能性について考えられるようになった。 地下鉄の運転には、地上鉄道よりも「駅間距離が短く、停車回数が多い」、「急勾配や急曲線などが多く、運転操作に技量を要する」、「運行頻度が高く、列車運転間隔が短い」など運転条件が複雑であることがあげられる。これら全ての運転操作を運転士だけに任せるのでは安全性に不安が考えられる。 このほか、列車の自動運転化はワンマン運転などの省力化も考えられるほか、運転保安性の向上や輸送力増強の可能性などが実現されることとなり、さらに一定の乗り心地が確保されることで全体的には旅客サービスの向上となる。 このような理由から将来の新システムとしての開発として、営団地下鉄では運輸省(当時)からの補助金を受け、電機メーカーと共同で1961年(昭和36年)6月からATO装置の研究開発を開始した。 最初に開発されたATO装置は1962年(昭和37年)2月に3015編成に仮設して南千住 - 入谷間で走行試験を実施した。この試験結果は良好であり、同月26日・27日に営団内で公開試運転を実施した。 さらに同年4月16日・17日には3027編成にATO装置を仮設して南千住 - 上野間で報道関係者向けに公開試運転を実施した。16日には報道関係者が、17日には私鉄・国鉄・運輸省関係者を招待して実施され、両日とも2往復の公開試運転が行われた。これらの試験結果は良好であったため、本試験を実施していくこととなった。 ただし、当初のATO装置は機器が大形であり、設置スペースの問題等から小形化された機器が開発された。この量産向けの装置は1963年(昭和38年)1月製の3次車、3057編成に取り付け、各種試験を実施した。この試験結果を基にさらに改良されたATO装置が開発され、同年11月製の3035編成に搭載された。そして、翌1964年(昭和39年)9月からは営業列車においてATO装置の使用が開始された。 その後、1966年(昭和41年)8月製の3073編成には再改良型のATO装置が搭載されるとともに、同時期に3057編成のATO装置は撤去された。以降は全線にATO区間が拡大されるとともに、3035編成と3073編成による営業列車における長期実用試験が実施された。 1961年(昭和37年)2月中 南千住 - 入谷間でATO実車試験・営団内ATO公開試運転を実施。 1962年(昭和37年)4月16日・17日 - 南千住 - 上野間で報道関係者にATO公開試運転を実施。 1963年(昭和38年)6月 南千住 - 人形町間で改良型のATO装置の走行試験が実施される。 1964年(昭和39年)9月8日 - 南千住 - 人形町間で営業列車におけるATO運転を開始。 1970年(昭和45年)10月7日 - 北千住 - 中目黒間全線でATO運転を開始。 営団地下鉄からATO運転の終了時期は公表されていないが、少なくとも1987年(昭和62年)末の時点では使用されている。その後3073編成は1991年(平成3年)4月に廃車、最後までATO装置を搭載していた3035編成は1993年(平成5年)2月に廃車となっている。 この試験結果は良好であり、特に本形式は発電ブレーキを装備していることから停止寸前まで電気ブレーキが使用可能で、定位置停止精度は前後20 cm以内と非常に高いものであった。このATO装置の実績は海外でも評価され、多くの専門家の視察もあるなど 一連の試験が残した功績は大きい。 なお、この日比谷線でのATO装置の試験は、当時さまざまな問題から営団地下鉄での実用化には至らなかった。しかし、この長期実用試験で培われたノウハウは1991年(平成3年)11月に開業する南北線において採用されるATO装置の基礎データとして反映された。
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