24条9項及び45条2項の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 02:57 UTC 版)
「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業 (2020年-2021年)」の記事における「24条9項及び45条2項の関係」の解説
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定される「政府対策本部」の設置以後、都道府県知事は施設の使用停止等の要請(休業要請とも呼ばれる)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法24条9項(以下、法律の名称は省略する)を根拠に行うことができ、更に緊急事態宣言が行われた場合は、緊急事態宣言の実施区域の都道府県知事(特定都道府県知事)は45条2項を根拠に行うこともできる。この二つの規定の適用については、2020年4月23日、国は内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長名の事務連絡を各都道府県知事に発出し、新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項及び第3項に係る要請及び指示について留意すべき事項を示したことにより適用が明確化された。 この通知は、「45条第2項及び第3項の規定に基づく要請及び指示は、施設を管理する者等に対して行われるものであり、使用制限等の対象も個別の施設となる」との見解を示し、「第1段階として第24条第9項の規定に基づく協力の要請を業種や類型毎に行ったのち、それに正当な理由がないにもかかわらず応じない場合に、第2段階として第45条第2項の規定に基づく要請、次いで同条第3項の規定に基づく指示を個別の施設の管理者等に対して行い、その対象となった個別の施設名等を公表する」との手順を示した。従って、例えばパチンコ店という業種に対する休業要請は、第24条第9項に基づき行い、これに応ぜずに営業を行っているパチンコ店があった場合は、そのパチンコ店の経営者に対し、第45条第2項の規定に基づき当該パチンコ店の休業を要請、次いで第45条第3項の規定に基づく休業の指示を行うことになる。 この通知の前の段階においては、下記のように当初から第45条第2項の規定に基づく措置とすることも検討された。 2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまん延への対応として、東京都知事は適用期間を4月11日から5月6日までとする、一定の種類の施設の使用停止等の要請を行ったが、用いられたのは24条9項であった。4月7日適用開始で東京都を範囲に含む緊急事態宣言(前述)の適用期間内にあることから、緊急事態宣言を前提とする45条2項の規定による要請の実施も検討はされた。 また、2020年の同感染症のまん延への対応として、埼玉県知事は2020年4月10日に「特措法におきましては、その一方で、施設の制限を求めることを前提とした45条という強力な規定があって、それに基づく政令において制限を求める施設の詳細が書かれています。この条項を適用するならば、どの施設が対象になるかということは平成25年に示されていますから、大きな混乱にはならなかったと考えています。 しかし今回の規定については外出の自粛はともかく、事業者に対するお願いは、24条というより弱い規定が前提」と発言、当初から第45条第2項の規定に基づく措置とすることも検討したことを示した。最終的には埼玉県HPに掲載された埼玉県における緊急事態措置(第2弾)の追加実施についてでは、24条9項に基づく要請と記載されている。 なお24条9項による要請は、政府対策本部が設置されている間は、特定都道府県知事以外の都道府県知事も行うことができる。そのため下記のように当該県について緊急事態宣言が解除された後も24条9項による要請を行っている例がある。更に2020年5月25日に緊急事態宣言の解除がされた後も、段階的に休業要請を緩和とする自治体は、完全に終了するまで24条9項による要請を行っている例がある。 2021年2月13日、深夜、新型インフルエンザ等対策特別措置改正法の施行の直前に、国は内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長名の事務連絡(「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律」及び「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」の公布について)を各都道府県知事に発出した。 この通知において、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく施設の使用制限等の要請については、新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第11条第1項各号に掲げる施設を対象としており、それ以外の施設は要請の対象としないものであることに留意することとした。令和3年1月7日付事務連絡においては、第24条第9項に基づくいわゆる「休業要請」については、施行令第11条第1項各号に掲げる施設を対象に限定しつつ、「休業要請」以外の「施設の使用の制限・停止」(施設の営業時間短縮を含む)に係る要請の対象については、施行令第11条第1項各号に掲げる施設に限られないとしていたものは、変更するとした。なお、一般的な感染防止対策等に係る要請の対象については、引き続き施行令第11条第1項各号に掲げる施設に限られないものとする、としている。 これにより、更に、緊急事態宣言の公示に係る期間・区域において営業時間の変更等又は施設の使用の制限・停止等の要請を行う場合には、原則として第45条第2項の要請によることとし、法第45条第2項に基づく要請については、原則として、法第24条第9項に基づく要請を前置せず、まず法第45条第2項の規定に基づく要請を施設類型毎に行い、それに正当な理由がないにもかかわらず応じない場合に、第2段階として法第45条第3項の規定に基づく命令を個別の施設管理者等に対して行うとした。 従って、2020年4月23日に示された方式は変更され、例えば飲食店の営業時間短縮であれば、まず、第45条第2項に基づき、飲食店という業態に対して午後8時までという時間短縮の要請を行い、従わない飲食店に対しては個別に45条第3項の規定に基づく命令を行うことになる。 上記のように緊急事態宣言の公示に係る期間・区域において方式の変更を国が指示したが、各都府県においては2021年2月の法改正後も、第45条第2項に基づく業態への変更は行わず、第24条第9項に基づく要請を継続した。2月26日になって東京都は、法第24条第9項に基づく施設の使用制限(営業時間短縮)の要請に応じず、施設の使用を継続している34施設について、法第45条第2項に基づく施設の使用制限(営業時間短縮)の要請を行ったと発表した。なお34施設の具体的名称は公表していない。東京都のHPには理由の記載はないが、内閣官房の事務連絡で「公表によりかえって多くの利用者が集まるなど、公表が利用者の合理的な行動を確保することにつながらないことが想定されることから、今般、法第45条第5項について、『公表しなければならない』ものから『公表することができる』ものに改正した」ところでとなっており、この趣旨による。
※この「24条9項及び45条2項の関係」の解説は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業 (2020年-2021年)」の解説の一部です。
「24条9項及び45条2項の関係」を含む「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業 (2020年-2021年)」の記事については、「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業 (2020年-2021年)」の概要を参照ください。
- 24条9項及び45条2項の関係のページへのリンク