2022年の活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:08 UTC 版)
「セルゲイ・ラブロフ」の記事における「2022年の活動」の解説
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻の収拾をめぐり、翌3月10日にはウクライナのクレバ外相との間で侵攻後初の閣僚級会談を行ったが成果はなかった。記者会見では、前日のマリウポリにおける病院への爆撃をめぐり「患者はいなかった。病院は長年、ウクライナ軍の極右のネオナチ部隊に占拠されていた」と反論するなど、一貫してロシア側に非は無いとする立場を主張した。 2022年5月1日、イタリアのテレビ局Rete4で放送されたインタビューで、ラブロフは「ゼレンスキー大統領がユダヤ人であることは、ウクライナがナチスの要素を持っていることを否定しない」とロシアによるウクライナ侵攻を正当化しつつ、「ヒトラーにもユダヤ人の血が流れていた。最悪の反ユダヤ主義者の中にはユダヤ人がいる」と付け加えた。 これに対して、イスラエルはロシア大使を召還し、謝罪を要求。ラビド外相は「ラブロフ外相の発言は許し難く、言語道断の主張であると同時に、甚大な歴史誤認だ」と発言を非難した。両国はこの問題について公に議論しないことで合意したが、ロシア外務省はラビド外相の発言に反発し「イスラエル政府が現在のウクライナのネオナチ政権を支持している理由を大部分で説明している」「日常生活や政治で、反ユダヤ主義は止められておらず、その反対に(ウクライナで)育っている」などと主張。このため、ベネット首相は「このような嘘は、ユダヤ人に対して行われた歴史上最も恐ろしい犯罪をユダヤ人自身のせいにし、それによって抑圧者をその責任から解放するためのものだ 」「ホロコーストを政治的な打算で利用することは直ちに止めなければならない」とロシア当局に対する明確な批判をした。 ゼレンスキー大統領は「ロシアトップの外交官がナチスの罪をユダヤ人に押し付けている。ロシア政府が、第二次世界大戦のすべての教訓を忘れたか、最初から学んでいなかったかだ」とコメントしている。 5月2日には世界ユダヤ人会議のロナルド・ローダー会長が「いかなる正当かつ許容範囲内のレトリックも超えており、嘆かわしく思う。ウクライナのゼレンスキー大統領はもとより、いかなるユダヤ人もヒトラーになぞらえることは青天の霹靂であり、ユダヤ人を反ユダヤ主義者として非難することは、最悪の反ユダヤ主義者やネオナチの思惑に食い込むものだ」として、ラブロフに発言の撤回を求めた。 5月3日にはアメリカのブリンケン国務長官が、ラビド外相の指摘は完璧であり「このように卑劣で危険なレトリックに対して声を上げ、クレムリンの悪質な攻撃に直面しているウクライナを支援することが、世界には求められている」とツイートした。また、問題発言が放送されたイタリアのドラギ首相は「イタリアにはロシアにはない表現の自由があり、たとえ常軌を逸した意見であってもラブロフがそれを表明する自由は認めている」としながらも、ヒトラーについての発言については「ジャーナリスティックな観点からすると、非常に良くない」と述べたことが報じられた。 同日、ユコス元CEOのレオニード・ネフズリンは、大臣が反ユダヤ主義の発言を行ったロシアが戦争終了後に孤立し貧困に陥ることを予測。歴史上で何度も起こったように「ロシア社会がユダヤ人に責任を負わせる」危険があるとして、ロシア国内のユダヤ人に向けてロシアからの脱出を呼びかけている。 5月4日にはロシアのユダヤ人コミュニティ会長がインタビューに応じ「ゼレンスキー大統領の出自や適切な保護と信心深さを必要とする第二次世界大戦の歴史への言及は、世界の人々にとって未解決の傷であり、国際社会に破壊的影響をもたらす」として「ラブロフが過ちを認めてユダヤ人に謝罪する」ことで解決するのではないかと述べた。 5月5日、プーチン大統領はイスラエルのベネット首相と電話会談し、ラブロフの発言について謝罪。ベネット首相は謝罪を受け入れたという。ベネット首相の事務所が公表した。
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