陰毛とその表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 05:26 UTC 版)
西洋では宗教による禁欲主義的な思想の影響等から、陰毛や性器の表現が抑制される傾向が古くからあった[要出典]。しかし、古代ギリシアに造られたアリストパネスの喜劇『女の平和』には浴場での女性同士の会話として話相手の陰毛が綺麗に脱毛されている事に言及する場面がある。また、イタリアルネサンスの代表的な芸術家であるミケランジェロの彫刻・ダビデ像(1504年)には若い男性の陰毛が表現されている。 女性の裸体を描いた絵画や彫刻は古代から数多く存在するがはっきりと陰毛が描かれる様になったのは、19世紀後半のギュスターヴ・クールベによる『世界の起源』(1866年)や20世紀の前半に活躍したベルギーのポール・デルヴォーの絵画辺りからである。女性の陰毛が表現されるのが遅くなったのは西洋においては古代ギリシャ以来、美しい女性は陰毛を含めて体毛を抜いておくのが身だしなみだとされていた事が大きな要因と考えられる。 日本では、江戸時代の春画にしばしば陰毛が描かれているが、明治維新後に制定された刑法175条によって陰毛が描かれたものは猥褻であるとされ、メディアにおいてその表現は長い間禁じられていた。しかし東京国際映画祭の招待作品であったジョージ・オーウェル原作の映画『1984』に女性の陰毛が露わになるシーンがあって問題となったが、招待作品である事から特例として映像を修正することなく上映することが認められた。それ以後、いわゆるヘアヌードと呼ばれるヌード写真が刑法で猥褻と見なされることは事実上なくなり、映画やビデオなど様々なメディアにおいて陰毛の描写については規制が緩和された。逆に、陰毛規制が行われていた頃には発毛前の少女のヌードには規制が行われなかったものが、むしろ児童ポルノ規制の強化によって許されなくなった。 テレビなどで放映される時には陰毛が写っているとモザイクやぼかしなどによって修正されるが、一部の番組では陰毛が写っていても修正されない場合がある。ビデオによる撮影では陰毛が写っているシーンがあるとモザイクをかけるが、俗に言われる裏ビデオではモザイクによる修正をしない場合が多い。また生放送では陰毛が映っているシーンがあるがいきなり修正することができず、画面を切り替えたりカメラを違う視点に変えたりするなどそれらに対処する術が難しい。このように日本国内での規制・自主規制はいまだに厳しいが、韓国では陰毛の写った媒体を曝け出すと日本よりも厳しい罪に問われることがある。 欧米のほとんどの国々では陰毛や性器を映像とする事自体は自由であり、青少年の目に触れないようにするという観点からの規制が存在するのみである。しかし、国によってはヌーディズムのために裸体でいることを認められた特定の区域以外において人前で陰毛を含めた陰部を見せると犯罪となる場合もある[要出典]。 なおヨーロッパではベネトンがエイズ撲滅キャンペーンの一環として数十人の老若男女の陰毛・外性器の写真を並べた新聞広告を出したことがあるが、この時は特段の問題にはなっていない。 この他、雑誌などにおいて人体のことを取り上げ、何故陰毛が生えてくるのかという記事がしばしば見られる。
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