野球専用球場・ボールパーク(ball park)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 02:06 UTC 版)
「野球場」の記事における「野球専用球場・ボールパーク(ball park)」の解説
純粋に野球開催のみを主目的に建設された野球場を、現在、米国では一般に「ボールパーク」と呼ぶ。野球場を指す一般的な用語としては、従前から「スタジアム」があり、米国では、1920年にグリフィス・スタジアムが野球場として初めて「スタジアム」を名乗って以来、「○○・スタジアム」という名の名称が一般的であった。しかし、1990年代以降に作られた新球場では、「○○・パーク」、「○○・フィールド」、「○○・ボールパーク」が主流になり、スタジアムと名が付く球場は減少傾向にある。 ボールパークと呼ばれる野球場は、天然芝、狭いファウルゾーン、野球専用でプレーが観やすい観客席、左右非対称のグラウンド形状、設計の随所に見られる遊び心、広く開放的な観客コンコース、等を共通の特徴としており、新古典派(ネオ・クラシック様式)とも呼ばれ、1992年に開場したオリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズがその先駆けとなった。 カムデンヤーズはデザイン面だけでなくマーケティングの面でも画期的な存在であった。それまでの球場はアメフトとの兼用が多く、そのため少ない試合数でより多くの観客を収容することに重点を置いた設計であった。これはレギュラーシーズンだけで年間162試合もこなすMLBにとっては収容力が過剰であった。そこで、カムデンヤーズはあえて収容人数を4万人台まで減らし、相対的に収容率を上げ、ファンにチケット購入に対する飢餓感を醸成させた(「早く買わないとチケットが売り切れるかもしれない」と思わせることが購買意欲をあおる最高のマーケティングとなる)。一方で、客単価の高い高付加価値の上位クラス座席を増設し全座席に対する比率を上昇させ、全体の座席数は減らしながらも、収益性は逆に高まるというビジネスモデルを作り上げた。これに倣い、その後の新球場も座席数を抑える傾向にある。 さらに現在、米国においては、マイナーリーグ用に低予算でボールパークを建設し、「市街地の活性化」に活かそうとする事例が増えている。ボールパークの周囲にはメリーゴーランドや観覧車、さらにはバーベキューコーナーを設ける等、野球にあまり関心が無い人であってもボールパークの空間・雰囲気を楽しめるよう様々な工夫が凝らされており、その結果、数千人収容規模のボールパークでありながら、試合毎にそのキャパシティを大幅に上回る観客が訪れている。 このようにボールパーク型の野球場は、旧来の球場以上に訪れる観客の裾野を広げる可能性を持つと言える。 日本においても、野球場のことを「○○スタジアム」(野球に限らず、観客席を持つ競技場を意味する単語)、または「○○球場」と呼んでいたが、グリーンスタジアム神戸が2000年に「ボールパーク化計画」を発表、プロ野球本拠地として25年ぶりに内野を天然芝化し、その後も低いフェンス、内野にせり出したフィールドシート、1990年代から続くスタジアムDJによる場内アナウンスなど球場をアメリカ風に改革していったことで、「ボールパーク」という言葉が広く認知された。 また、広島の新球場計画では、当初ドーム球場を建設する方針であったが、本拠地とする予定の広島東洋カープがドーム完成後の採算性を危惧し、また選手らの肉体的負担を考慮して天然芝のフィールドを強く求めたことなどから、ボールパーク建設計画に変更された。(2003年に計画凍結、2005年に現計画が再開。詳細はMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島を参照) さらに東京ドームなどで相次いでフィールドシートが設置され、千葉マリンスタジアム、横浜スタジアム、札幌ドームで内野フェンスが撤去もしくは低くされたりするなど、従来からの多目的球場においても、ボールパーク化の試みが行われている。
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