選出方法とその変遷
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創設後から1984年改訂前までの投票方式(会員) 当初、会員選出は自由立候補制によって研究者が登録し選挙を行う方式であった。自由立候補制で、部、専門、地方別に登録した研究者が有権者として直接投票を行った。全国区、地方区(6地方)で210名が選出され、任期は3年で全員が改選となったが、再任回数に制限はなかった。有権者数は第1期で4万3999名、1983年12月時点で24万12名であった。 第1期、第2期の選挙を経験した日本学術会議会長の亀山直人によると、「教室や研究所で強制的にある人に指示して投票させたとか、白紙を集めたとか、A群とB群とが互に連絡して投票を交換したとか種々の醜聞がある」ことを紹介し、「これらの風聞にはどうしても若干の根拠がある」と指摘していた。当時は選挙規則が不十分で、金銭を伴う選挙活動すら違法ではなく、第3期の後に選挙規則が見直された。第4期で会長を務めた兼重寛九郎によると、第4期の選挙では改善の効果が見受けられたという。 1984年から2005年改訂前までの学会推薦方式(会員) 導入は1985年の7月の第13期から。会員を推薦したい学会はまず「登録学術研究団体」に認められておく必要があった。日本学術会議には学術領域ごとに研究連絡委員会があるため、学会はどの学術領域に会員候補者・推薦人を出すか決めておくことになる。次に学会は「会員候補者」を日本学術会議会員推薦管理会に届け出て、会員資格を有することの「認定」を受ける。さらに各学会が届け出た推薦人が、学術領域ごとに会員資格を有すると認定された候補者の中から「会員候補」を選出する。なお、推薦人は各学会の構成員である必要がある。選出された会員候補は日本学術会議から内閣総理大臣に推薦され、任命を受ける。 第17期では協力学会登録時の虚偽が見過ごされたことがあり、第18期では登録情報を会員に公開するよう改善が図られた。また、学協会はその分野の研究連絡委員会に登録されるが、その学協会がその委員会に適切かどうかという問題も生じていた。なお、3年に一度の会員推薦の際にはその分の予算が増額され、例えば1994年度には約8000万円の経費が上積みされていた。 2005年以降のコ・オプテーション方式による選出方法(会員・連携会員) 2005年の第20期から導入されたもので、現役の会員・連携会員が各々ふさわしいと考えられる「優れた研究又は業績がある」科学者から、会員候補者と連携会員候補者を合わせて5名まで、うち会員候補者は2名以内推薦する。この際、優先順位をつけることはできず、人数は5名より少なくてもよく、連携候補者だけの場合でも構わない。そこから選考委員会・分科会による選考が行われる。なお、会員の定年は70歳であるため、少なくとも1期は務められる年齢であることが推薦時に望まれている。 この方式を検討した際の会長である吉川弘之は、「自分の身近な人は推薦しない」「学術的業績が最も優れている人を推薦する」「自分の分野にだけこだわり続ける人は推薦しない」などのルールと、何段階かの選考で派閥化などの弊害は取り除けると考えたという。また、2014年1月当時の大西隆会長は、資質がある後継者を選ぶことに適していても既に会員となっている者と思想や意見が異なる集団から選ぶことに適していないと内部分析を行い、「他制度より優位性を持つか否かは、現会員・連携会員による推薦及び選考が適切に行われることに掛かっている」と記している。
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