選出方法に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:24 UTC 版)
首相公選制に対する問題点として首相公選が単なる人気投票になり衆愚政治に陥ってしまうのではないかという懸念がある。そのため首相公選制の下でも候補者は政治的資質を備えた者が当選できる何らかの仕組みが必要とされる。 この点を制度的に担保するために議員の一定の人数の推薦を受けるなど選挙において資格要件を設けるべきとの意見もあるが、政党が常に見識をもって候補者の擁立を行うとは限らず、また、国民の自由な判断の下に首相を選ぶという本来の趣旨に反する結果になるのではないかとの問題点が指摘されている。 この点については資格要件のハードルを高くすると立候補できる者の範囲が狭くなることになり、反対に低くしすぎると泡沫候補の問題を生じることになるという問題がある。 「首相公選制を考える懇談会」報告書の第一案(国民が首相指名選挙を直接行う案)では立候補に一定数の国会議員の推薦を条件としている。 公選首相と与党党首の関係も問題となる。党首以外の者が党推薦の候補者となるとき、与党の党首に頭を下げなければ国会審議が進まないという事態になり、首相の地位が今よりも弱くなるのではないかとの懸念がある。また、現に党首の地位にある者が党の推薦を受けて候補者になるような制度であるならば公選を行う必要はないとの見解もある。 予選制度を導入すべきか否かという論点もある。「首相公選制を考える懇談会」報告書の第一案(国民が首相指名選挙を直接行う案)では二回投票制(一回目の投票を一種の予備選挙と捉える)を採用している。本案の課題として報告書の中では、首相や副首相の資質を知るための客観的情報がマスメディア等の媒体によって適切に提供されるかどうか、また、国民がそれを有効活用して冷静な投票を行うことができるか懸念は残るとしている。なお、首相公選制の下で予選制度を導入すべきとする主張に対しては、さらに莫大な費用が必要となり、予選で選ばれた者が最終的に本選挙で勝利するとは限らないとの批判などがある。
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