運搬と水質汚染における化学反応と生態系の異変
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 06:38 UTC 版)
「水質汚染」の記事における「運搬と水質汚染における化学反応と生態系の異変」の解説
多くの水質汚染は、河川から大洋へと実際に運搬される。世界の幾つかの地域では、水文学の運搬モデルでは、河口から何百キロも離れた地点にまで汚染の影響を辿ることができる。SWMMやDSSAM Modelなどの進んだコンピュータモデルでは、水系システムにおける汚染の行方を試算することで、世界の多くの地域において用いられる。カイアシ類などのプランクトンといった種の摂食行動を示す濾過機が、ニューヨークの湾曲部において汚染の行方が研究されるのに用いられた。このことは、毒性の負荷がハドソン川の河口において直接に最も高い数値を示す代わりに、100km南方のプランクトン組織に摂食されるのに数日かかる地点まで流れている。ハドソン川からの流出物は、コリオリの力に従って海岸沿いに南方へと流れる。さらに南方では、酸素の枯渇が発生しており、酸素を費消する薬品や海藻の大量発生によるもの、海藻類の細胞の死滅や化学分解によって生まれる過剰栄養塩、などが原因である。また、毒素となる物質が食物連鎖をたどり、小魚がカイアシ類などのプランクトンを消費し、大魚は小魚を摂食するなどの経路で魚介類における大量死が報告されている。続いて食物連鎖を手繰るのだが、重金属(例としては水銀)や難分解性有機汚染物質(DDT)といった物質に対する汚染濃縮(生物濃縮)というものである。 大洋の旋廻海流が浮遊するプラスチックの破片を捉える。例えば、北太平洋旋廻は、いわゆる太平洋ゴミ集積帯ともいわれるテキサス州の2倍の大きさの廃物を集めた。多くの残留廃物が海鳥や海洋生物の胃袋に関わる。この結果は、動物の食欲を減衰させ、あるいは飢餓に陥れるような消化経路の障害になる。 多くの化学物質が、崩壊反応をなし、あるいは化学的な変化が、特に地下水の貯蓄池において長い間にわたり存在する。いくつかの化学物質に関して注目すべき種類としては、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどドライクリーニング産業で使用された塩化炭水化物がある。どちらの化合物も発癌性であり、さらなる有害性を引き出す化学分解反応を起こす。(1,2-ジクロロエチレンやビニール塩化物を含む) 地下水の汚染は表層の汚染よりも減少しにくいもので、これは地下水が見えない帯水層を長距離にわたり移動することが原因である。粘土層などの浸透性のない帯水層では、単純な濾過作用(吸収)や希釈、またあるケースでは化学反応と生物活性である。しかしながら、あるケースでは汚染が単純に土壌汚染物質に変質している。地割れや洞窟を移動する地下水は、それほど濾過されず、表層の水と同じく容易に移動することができる。カルスト地形の地域では、天然のゴミの集積場としての陥没穴が使われるというのが人間の行動の結果として事態を悪化させている。
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