資料・研究とは? わかりやすく解説

資料・研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/25 13:57 UTC 版)

山科勝成」の記事における「資料・研究」の解説

山科勝成」の名は外務省編纂の『外交志稿』で世に知られ次いで1893年渡辺修二郎が著した世界に於ける日本人」で取り上げられたことにより、その知名度上げた。『外交志稿』は参考史料を『蒲生家記』としており、渡辺は『蒲生家記』ほか数篇の史料挙げたが、学術的に知られた『蒲生家記』に山科勝成および蒲生氏郷による遣欧使節の話は載っておらず、その情報出所不明瞭だったその後廃嫡された蒲生氏郷の子・氏俊から子孫伝えられとされる写本蒲生氏郷事跡・御祐筆日記抄略」の存在が明らかとなった。この史料蒲生家の家人大野彌五左衛門なる者が、寛永19年1642年)に著したのである序文記されているが、『蒲生家記』と重複する内容多く同書底本として、筆を加えたものとみられる。 「御祐筆日記抄略」を調査した歴史学者辻善之助は、複数観点からロルテス=山科勝成実在性、そして蒲生氏郷によるローマ遣使の史実性否定している。 ロルテスの身元甚だ不明瞭で、蒲生氏郷紹介状書けるほどの人物が誰であるのかも記されていない学術的に知られた『蒲生家記』と照合したとき、山科勝成ローマ派遣についての記述だけが浮いた存在である。 これほど活躍した武将が、まして大砲を操るという極めて珍しい戦法用いているのに、他の歴史文書一切記録されていない加賀野井城攻略戦から7日後にはローマへ向けて出立しているのはあまりにも急である。どのような船で、誰の案内行ったのかも判然としないし、現地の話も全く書かれていないまた、他の大名からの遣欧使節出発から帰国までに7~9年要しているのに対し、氏郷からの使節7年で4往復もしている点も甚だ不可思議である。 文章全体時代新しい語散りばめられており、寛永19年成立文書であるという点にも疑いを持たざるを得ない。 以上の点から辻は「御祐筆日記抄略」について、『蒲生家記』にロルテス=山科勝成という架空の存在付け足して渡辺による入手から近い時代書かれたものであるとし、勝成の通称「羅久呂左衛門」も、伊達政宗から発せられた慶長遣欧使節の長であった支倉常長通称六郎右衛門」のもじりではないか推測している。また、ローマへ使節については「全くの絵空事」とし、当初その史実性疑問視されながら、彼地において様々な史料発見され事実確認至った慶長遣欧使節とは、派遣元に史料残されていないという点で事情大い異なると指摘している。 「御祐筆日記抄略」を最初に入手した渡辺修二郎は、辻と同様に文章表現新しいことを認めつつも、「故意捏造し紛れこませたという痕跡はない」ともし、「氏郷がローマ人軍人として用いたのはあるいは事実であろう」と述べている。遣欧使節については「当時といえども2年半ないし3年ヨーロッパとの往復は全く不可能ではない」としているが、その一方でやはり現地様子についての報告全くないことを訝しみ、自身調査でもローマに氏郷からの使節派遣裏付ける史料が全く見つからなかったとしており、遣使があったとしてもフィリピンマニラゴアなど東南南アジアへの通商であって書物贈られたという「ローマ大僧正」も、実際はそうした土地における宗教者のことだったのではないか推測している。 なお、勝成が登場する複数創作物において、「イタリア人宣教師オルガンティノ連れてきた元マルタ騎士団員で、本名はジョバンニ・ロルテス」という設定なされていることがあるが、「御祐筆日記抄略の上では、辻が史料批判行っているとおり「知識極めた軍人である」という以外に、名前も含め具体的な素性は全く書かれていない

※この「資料・研究」の解説は、「山科勝成」の解説の一部です。
「資料・研究」を含む「山科勝成」の記事については、「山科勝成」の概要を参照ください。

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