議論中の種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/15 05:41 UTC 版)
Prognathodon kianda や P. overtoni、P. rapax、P. stadtmani および P. waiparaensis は明確にモササウルス科の種であるとされたが、プログナトドンの種としての指定は論争が続いており、Madzia and Cau (2017) や Simões et al. (2017)といった系統解析では上記の種はプログナトドン属の外側に置かれ、大半は独立した属を代表する可能性がある。 Prognathodon kianda Schulp et al., 2008 — マーストリヒチアン, アンゴラ P. kianda はアンゴラのマーストリヒチアンの層から知られ、辺縁歯が多く、翼状骨の歯が相対的に小さい。本種は疑問名扱いの属であるリオドンと近縁であるらしく、大半の系統解析ではプログナトドンの外側に置かれ、遥かに基盤的なモササウルス亜科に位置づけられている。 Prognathodon overtoni Williston, 1897 — カンパニアン, カナダアルバータ州とアメリカ合衆国コロラド州・サウスダコタ州 P. overtoni は歯に滑らかなエナメル質を持つことなどから、P. solvayi を含む他の種から識別可能である。 Prognathodon rapax Hay, 1902 — マーストリヒチアン, アメリカ合衆国メリーランド州・ニュージャージー州 P. rapax は椎骨の特徴がモササウルスのものと非常に類似しており、P. overtoni や P. solvayi から容易に区別可能である。 Prognathodon saturator Dortangs et al., 2002 — マーストリヒチアン, オランダ P. saturator はオランダのマーストリヒチアンの層に由来する巨大で重厚な種である。P. saturator は全長9 - 10メートルに達したと推定され、これを上回る全長を誇るプログナトドンの種は P. overtoni (この種のプログナトドンとしての分類も議論を呼んでいる) と P. currii だけである可能性もある。種小名 saturator はラテン語で「充足を与える男」を意味し、タイプ標本が1957年以降マーストリヒトで初めて発見された完全なモササウルス科標本であったことを反映している。 P. saturator をプログナトドン属の他の種から区別する大半の明白な標徴形質はその巨体であり、記載時に知られていたプログナトドンのどの種よりも大型で、一般に非常に巨大で重厚である。P. saturator はまた、本属の他種には確認されている背側中央の隆起にある突起を欠く。ほかにも差異はあり、個々の違いにより大半の他種から容易に識別される。カンパニアン前期の P. stadtmani は遥かに細長い歯骨を持ち、これは P. waiparaensis でも見られる特徴である。P. giganteus は歯骨の背側の縁が真っ直ぐであり、冠顎骨が小さく、下顎骨の後方部位が長方形かつ関節後突起が鈍く、方形骨は遥かに小型であるため、P. saturator から区別される。 タイプ標本 NHMM 1998141 には完全に近い頭骨、繋がった頚椎、頚椎および肋骨のついた胸椎、バラバラになった尾板骨と尾椎、肩甲烏口骨と分離した四肢の骨の要素が保存されている。 方形骨の頑強さはがっしりとした下顎とともに、P. saturator が他の全てのモササウルス科を上回る咬合力を持っていたことを示唆している。プログナトドンの他種やグロビデンスの方形骨と比較して P. saturator の方形骨はさらに強固な構造となっている。アロプレウロン(Allopleuron)などの既知のマーストリヒト地域に由来する大型のウミガメの例から、これら全長2.9メートルのカメが P. saturator の獲物の範疇に入っていた可能性がある。it is possible (based on found healed bite marks) that the size range of the prey of P. saturator included these 2.9 meter long turtles. Prognathodon stadtmani Kass, 1999 — カンパニアン前期, アメリカ合衆国. Schulp et al. (2006)による系統解析により、解析に加えられたプログナトドン属の6種の名目上の種と1種の非公式の種が1つの分類群に妥協されたが、P. stadtmani はプログナトドン属に合致しなかったため分類群の外へ追いやられた。P. stadtmani のホロタイプが不完全な状態であるため、本種の属を判断するさらなる研究には、本種の追加の化石が発見されるのを待たなくてはならない。 Prognathodon waiparaensis Welles and Gregg, 1971 — マーストリヒチアン, ニュージーランド P. waiparaensis はニュージーランドに位置するマーストリヒチアンの堆積物層から発見された、バラバラになった頭骨・頚椎・肋骨を含む部分的な骨格で知られる。 疑問名扱いであるリオドン属の3種(Liodon sectoriusとL. compressidensおよびL. mosasauroides。うち2種は細長い吻部を持つ)は、顎の縁に沿った辺縁歯列の比率が P. kianda に類似していたため、一時的にプログナトドンに割り当てられていた。P. kianda は何度もプログナトドンよりも基盤的なモササウルス亜科に属するとされ、新たな属として独立し、3種の系統学的位置はかなり不確かであろうものの、プログナトドンの種を代表しない可能性が高い。
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