試作冷房改造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:38 UTC 版)
冷房化が本格化した私鉄通勤電車に続き、国鉄でも通勤・近郊形電車の冷房化を試行することとなり、1970年に山手線の103系10両と京阪神快速の113系8両で試作冷房車が投入された。103系は冷房車として新造されたが、113系では既存の0番台が改造された。 改造されたのは、サロ112形を含む以下の1編成8両である。 ←東 クハ111-52+モハ113-55+モハ112-55+クハ111-360+サロ112-14+モハ113-15+モハ112-15+クハ111-369 冷房装置はクハ111-360とモハ112-15が東芝製AU73X形、モハ112-55とクハ111-369が日立製作所製AU74X形、クハ111-52とモハ113-15・55が三菱電機製AU75X形と集中式3種類が車体・台枠を補強のうえで搭載され、車内の意匠も冷房風道や吹き出し口の配置、扇風機の有無も数種類が存在した。 冷房用電源装置は、113系では編成両数の考慮から急行形冷房車と同一の110 kVAのMGがクハ111形に搭載された。 一方、サロ112-14は同系の車体を持つ165系サロ165形、455系サロ455形と同様の分散式AU13E形が搭載されたが、それらが5基搭載だったのに対して6基搭載とされた。宮原電車区に配備されたサロ112-3についても同様の改造が行われた。 なお、同じサロ112でも、1, 13, 17, 19, 21 - 29, 51, 101 - 104は、サロ152・サロ163時代に冷房電源として、MH122A-DM76の20 kVAのMGを装備していた。 113系の試作冷房車は、大阪万博の開催期間中の1970年7月より営業運転を開始した。1972年2月、クハ111-369とサロ112-14を除き鳳電車区に転じて阪和線で使用された。1976年度以降冷房装置を量産タイプのAU75Bに載せ替えたが、クハのMGはそのままであり、モハ112もMGは設置されなかった。 クハ111-369は1986年に800番台に改造された。国鉄の分割・民営化時には7両全車がJR西日本に承継された。 0番台のままだった6両は1991年に800番台および415系800番台の種車となった。冷房電源が量産車と異なりやや特殊な存在ではあったが、415系改造時にクハ搭載のMGが上手く生かされた形になった。 番号の対照は以下のとおり モハ113-15→モハ113-813→クモハ113-3813 モハ113-55→モハ113-819→クモハ113-3819 モハ112-15→モハ414-810 モハ112-55→モハ414-804 クハ111-52→クハ415-801 クハ111-360→クハ415-807 クハ111-369→クハ111-810 ※クハ111-810は2005年、クモハ113-3813と3819は2008年に廃車され、現在は415系800番台に改造された4両が残る。
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