試作一号機の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/09 15:57 UTC 版)
レ号は1人乗りである。試作一号機は初のヘリコプターということもあり、実用性の低い、実験的性格の強い機体であった。資材不足のため胴体フレームやローターブレードは木製であった。胴体フレームの横幅は人間1人分しかなく、剥き出しで外皮で覆われていなかった。 レ号は双ローター方式である。外形を前から順に記述すれば、メインローターの駆動装置、その上に4翅メインローター1つ、駆動装置を挟んで胴体中央部の両脇に空冷ガソリンエンジン2基、燃料タンクが配され、その背後に操縦席がある。さらに後方にテイルブーム、そしてテイルブーム上面に配された小型の4翅テイルローター1つがあった。このテイルローターはメインローターの約半分の直径であった。 空冷ガソリンエンジンの前部には直径50 cm、8枚羽、毎分3000回転の強制冷却ファンがついていた。この強制冷却ファンは輪状のカバーに覆われており、機体の両脇にそのカバーが露出していた。 レ号の持つ双ローター方式はかなり変則的である。メインローターは揚力を担い、機体の姿勢制御はテイルローターが担っていた。さらにテイルローターは揚力の一部を生み出した。動力は機体中央のエンジンからシャフトにより伝達し駆動する。テイルローターは尾部の上面に配され、やや斜め前方左に回転軸が傾いて付いていた。テイルローターはメインローターと逆向きに回転し、メインローターから発生するアンチトルク(機体をローターとは逆向きに回転させる力)を相殺した。 メインローター主柱後方に操縦席があった。操縦席前部に計器パネルがあり、頭上には頭部保護の為に、透明な覆いがついていた。 機体は、斜め前方の補助輪2個と、中央の固定式の主車輪2個と、後尾の尾輪1個によって支えられた。 現存する数少ない写真には1段下がった三角の台が見られる。これは機体前方に突き出た、ローター回転試験における性能測定用の出力軸を支える為の作業台である。
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