西貝塚 (上尾市)とは? わかりやすく解説

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西貝塚 (上尾市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/20 15:36 UTC 版)

日本 > 埼玉県 > 上尾市 > 西貝塚 (上尾市)
西貝塚
埼玉県総合リハビリテーションセンター
西貝塚
西貝塚の位置
北緯35度56分17.02秒 東経139度33分11.05秒 / 北緯35.9380611度 東経139.5530694度 / 35.9380611; 139.5530694
日本
都道府県 埼玉県
市町村 上尾市
地区 平方地区
面積
 • 合計 0.2288[1] km2
人口
(2019年(平成31年)1月1日現在)[2]
 • 合計 96人
等時帯 UTC+9 (日本標準時)
郵便番号
362-0057[3]
市外局番 048(浦和MA[4][5]
ナンバープレート 大宮
座標の場所は埼玉県総合リハビリテーションセンターを示す

西貝塚(にしかいづか)は、埼玉県上尾市大字。市の統計などでは平方地区で分類されている。郵便番号は362-0057[3]

地理

埼玉県の県央地域で、上尾南西部の大宮台地上に位置する[6][7]。 西側は堤防を挟み、荒川の河川区域である沖積平野に掛かる。北側の平方との境を中堀川(上尾中堀川)が流れる。 北側から東側にかけて上野、南側をさいたま市西区峰岸や同宝来、西側から北側にかけて平方と隣接する。東側は平方領領家の飛地と斜向かいに隣接し、南側では指扇領辻とも僅かに隣接する。地区の南側、堤防沿いの堤外地に西貝塚の飛地が存在する。全域が市街化調整区域[8]で、地区内は清掃工場などの公共施設が多く立地するが水田や耕地も見られる。1880年代は水田や耕地が6割強と大半を占め、宅地は1割弱であった[9]。荒川流域沿いの低地は荒川近郊緑地保全区域[8]に指定されている。

縄文期および弥生期の住居跡遺跡である薬師耕地前遺跡[10](県遺跡番号:14-068)や、上尾市稲荷台遺跡(県遺跡番号:14-066)などが地内にあり、住居跡のほか土壙ピットなどの遺構や、土器片のほか石器や鉄器など[8]の遺物が発掘されている。

歴史

もとは江戸期より存在した武蔵国足立郡平方領に属する貝塚村[注釈 1]、古くは高鼻荘に属する貝塚村であった[12][注釈 2]。村高は正保年間の『武蔵田園簿』では61余(田8石余、畑52石余)[14]、『元禄郷帳』によると59石余、『天保郷帳』によると60石余であった。化政期の戸数は10軒で、村の規模は東西5、南北8町であった[12]。地名は文字通り縄文時代の居住址である貝塚が地内に存在したことによると云われている[12]。峰岸村・辻村・宝来村・平方村の間や、指扇領の村々の入会地がある場所に飛地を領していた[12]。 農産物の一大産地であったようで、1875年(明治8年)の農業産物高は武蔵国郡村誌によると米11石、大麦56.1石、小麦14.044石、大豆13.2石、小豆6.75石、栗10.5石、15石、蕎麦3.6石、里芋385貫、菜種2石、製茶1貫、胡麻0.45石、大角豆2.233石、鶏22羽・卵660個、蚕豆5.3石、大根220貫、人参22貫、茄子143貫、牛蒡770貫、柿154貫、綿26.4貫と実に多様な農産物が生産されていた[15][注釈 3]。今の上尾に属した他の宿町村で多く見られた甘藷の生産はここでは行われていなかった。

1889年(明治の大合併)では、西貝塚村は耕作関係や風俗習慣等の相違から、中釘村連合に属した村々と共に指扇村を合併先に希望する答申を吉田県知事に行なうなど紆余曲折があったが[16]、西貝塚村が新平方村に囲まれていて平方の方が近いことや、平方に属した方が将来的には得策であるという上申書を、中釘村連合戸長の江原詮道が県に提出したこともあって、同村の申し立てを却下し、距離が近い平方村に付けられた[16]。3年後の県役人の巡視報告によると、合併後は同村の不平はなかったとのことである[16]

はじめは幕府領1623年元和9年)より知行旗本山之内氏となるが、1689年元禄2年)より上知され再び幕府領となる[12][9]。なお検地1694年(元禄7年)に実施。1765年明和2年)より幕府領の一部が旗本松平氏の知行地となり、1767年(明和4年)より残部の幕府領が川越藩松平領となるが1842年天保13年)に川越藩領が再び幕府領(代官支配地)となる[12][9]

小字

世帯数と人口

2019年(平成31年)1月1日現在(上尾市発表)の世帯数と人口は以下の通りである[2]。上尾市の町丁・大字別の人口としては最も少ない。

大字 世帯数 人口
西貝塚 41世帯 96人

小・中学校の学区

市立小・中学校に通う場合、学区(校区)は以下の通りとなる[34]

大字 番地 小学校 中学校
西貝塚 全域 上尾市立平方小学校 上尾市立太平中学校

事業所

2021年(令和3年)現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[35]。上尾市の町丁・大字別の事業所数としては、大字では最も少ない[注釈 7]

大字 事業所数 従業員数
西貝塚 12事業所 481人

交通

地区内に鉄道は敷設されていない。最寄り駅は川越線指扇駅である。

道路

バス

上尾駅西口のほか、大宮駅西口や指扇駅・西大宮駅北口方面への路線バスが多数運行されている。

東武バスウエスト上尾営業所東武バスウエスト大宮営業事務所[36][37]
地区内は「リハビリセンター」、「リハビリセンター入口」、「貝塚」、「わくわくランド」バス停留所が設置されている。
上尾市コミュニティバス「ぐるっとくん[38]
  • 平方丸山公園線
  • 平方小敷谷循環
地区内は「リハビリセンター」、「リハビリセンター入口」、「わくわくプラザ」バス停留所が設置されている。

地域

町内会

寺社・史跡

貝塚村だった頃は薬師堂も所在した[12]。神社は村社の稲荷社のほか、愛宕社が設立されていたが、旧平方村で村内にある神社の合祀が1908年(明治41年)5月に行われ[40][41]、1909年(明治42年)9月25日に合祀先の平方氷川神社にて合祀祭が挙行され[40]橘神社に改称された[42]。現在は同名の小祠がある。

  • 稲荷社
  • 愛宕社 - 左岸堤防上に所在
  • 薬師耕地前遺跡[43]
  • 稲荷台遺跡

※ 平方西貝塚(埼玉県選定重要遺跡)は大字平方字南ほかに所在する[44]

施設

地内に街区公園は存在しない。

  • 埼玉県総合リハビリテーションセンター
  • 西貝塚環境センター - 指定緊急避難場所(地震・洪水)に指定[45]。洪水時は工場棟6階展望室を使用[45]
    • 西貝塚環境センター管理事務所
  • 上尾市健康プラザわくわくランド
  • 西貝塚公民館
  • 宝来運動公園 - さいたま市管理の施設。敷地の一部が西貝塚の飛地に掛かる。

脚注

注釈

  1. ^ 『新編武蔵風土記稿』では差扇領[11]
  2. ^ 『新編武蔵風土記稿』には「高鼻庄に属し」と記述がある[13]
  3. ^ その他、木綿糸4.95貫、白木綿10反・木綿縞22反、味噌3300斤、藁縄880房、藁莚150枚。
  4. ^ 当村の村社は稲荷社である。平方村の氷川社の社領が地内に及んでいたかどうかは不明。
  5. ^ 武蔵國郡村誌』では塚下・向原・向山、『新編武蔵風土記稿』では向ひ原・向ひ山と記されている[13]
  6. ^ 『武蔵國郡村誌』および『新編武蔵風土記稿』では中原と記されている[13]
  7. ^ 町丁にまで範囲を広げると壱丁目西の3事業所が最も少ないが、市街地や幹線道路に近く、今後発展する可能性がある。

出典

  1. ^ 統計あげお 平成30年版 第1章 土地・気象”. 上尾市役所. p. 2 (2019年5月30日). 2020年5月24日閲覧。
  2. ^ a b 町丁大字別人口表”. 上尾市 (2019年2月4日). 2019年4月27日閲覧。
  3. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2019年4月27日閲覧。
  4. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年4月27日閲覧。
  5. ^ 単位料金区域別市外局番等一覧表”. NTT東日本. 2020年5月24日閲覧。
  6. ^ a b c 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』653頁。
  7. ^ 『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』341-347頁。
  8. ^ a b c 都市計画図がご覧になれます。 - 上尾市(2014年9月5日).2019年6月10日閲覧。
  9. ^ a b c d 『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』329-334頁。
  10. ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』927頁。
  11. ^ 新編武蔵風土記稿 足立郡ノ18.
  12. ^ a b c d e f g h 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』218頁。
  13. ^ a b c 新編武蔵風土記稿 貝塚村.
  14. ^ 東京市『東京市史稿. 市街篇第六附錄』東京市、1928年、80-81頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3450753/46 
  15. ^ 『上尾百年史』 250-254頁。
  16. ^ a b c d 『上尾百年史』 127-128頁。
  17. ^ 『上尾百年史』 24頁。
  18. ^ a b 「旧高旧領取調帳データベース」の「貝塚村」の検索結果も参照。
  19. ^ 『上尾百年史』 26-30頁。
  20. ^ 『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』117-123頁。
  21. ^ 『上尾百年史』 98-116頁。
  22. ^ 『上尾百年史』 586-590頁。
  23. ^ a b c 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』1421頁。
  24. ^ 『上尾市史 第五巻 資料編5、近代・現代2』 557-558頁。
  25. ^ a b c 広報広聴課 (2018年7月). “広報あげお 2018年7月号(No.1012)” (PDF). 上尾市役所. pp. 1-9. 2018年10月29日閲覧。
  26. ^ リハビリテーションセンター概要 - 埼玉県総合リハビリテーションセンター. 2019年4月27日閲覧。
  27. ^ 令和2年度当初予算 福祉部1” (PDF). 埼玉県. p. 5 (2020年2月20日). 2021年11月22日閲覧。
  28. ^ Ⅲ.ケーススタディ実態調査 (PDF) [リンク切れ]p. 13-16 - 一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会. 2019年4月27日閲覧。
  29. ^ 上尾市都市計画マスタープラン2010”. 上尾市. pp. 4-5 (2011年3月). 2020年7月26日閲覧。
  30. ^ 稲荷台遺跡(第8次)(上尾市)”. 公益財団法人 埼玉県埋蔵文化財調査事業団. 2020年7月26日閲覧。
  31. ^ 稲荷台遺跡(第5・6次)(上尾市)”. 公益財団法人 埼玉県埋蔵文化財調査事業団. 2020年7月26日閲覧。
  32. ^ 関東地方整備局より4件の工事表彰 - 飯田鉄工(2019年7月24日).2020年7月26日閲覧。
  33. ^ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』1389頁。
  34. ^ 市内小・中学校通学区一覧”. 上尾市 (2018年4月1日). 2019年4月27日閲覧。
  35. ^ 経済センサス‐活動調査 / 令和3年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 事業所数、従業者数(町丁・大字別結果)”. 総務省統計局 (2023年6月27日). 2025年2月17日閲覧。
  36. ^ 路線図 大宮営業事務所 (PDF) - 東武バス.2019年6月10日閲覧。
  37. ^ 路線図 上尾営業所 (PDF) - 東武バス.2019年4月27日閲覧。
  38. ^ ぐるっとくん 上尾市内循環バスROAD案内マップ (PDF) - 上尾市役所.2020年5月24日閲覧。
  39. ^ 自治会・町内会・区会に加入しましょう”. 上尾市役所 (2021年3月15日). 2022年5月2日閲覧。
  40. ^ a b 『上尾百年史』 604-609頁。
  41. ^ 上尾の寺社 10 橘神社(平方)”. 上尾市教育委員会 (2014年3月1日). 2020年6月11日閲覧。
  42. ^ 広報広聴課「上尾歴史散歩309 神社の動向 - 明治後期の神社合祀 -」『広報あげお 平成28年12月号』第993号、上尾市、2016年12月、35頁、2020年6月9日閲覧 
  43. ^ 上尾歴史散歩281」『広報あげお 平成26年8月号』第965号、上尾市、2014年8月、35頁、2020年5月30日閲覧 
  44. ^ 県指定等文化財 6 重要遺跡”. 2016年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年11月26日閲覧。
  45. ^ a b 指定緊急避難場所・指定避難所・福祉避難所”. 上尾市役所 (2022年2月14日). 2022年5月2日閲覧。

参考文献

  • 上尾市教育委員会・編『上尾市史 第五巻 資料編5、近代・現代2』上尾市、1998年3月31日。 
  • 上尾市教育委員会・編『上尾市史 第八巻 別編1、地誌』上尾市、1997年3月31日。 
  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』角川書店、1980年7月8日。ISBN 4040011104 
  • 『新編武蔵風土記稿』 巻ノ152足立郡ノ18、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:764000/21 
  • 「貝塚村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ152足立郡ノ18、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:764000/29 
  • 旧高旧領取調帳データベース

関連項目

外部リンク




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