製品展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 19:03 UTC 版)
「MULTI 16シリーズ」の記事における「製品展開」の解説
1981年10月、三菱電機は大阪で開催されたエレクトロニクスショーと東京で開催されたデータショウに16ビットパソコンを参考出品して注目を集めた。後にMULTI 16と名付けられた初代機は1981年12月2日に発表され、1982年1月より営業活動を開始、同年4月より出荷が開始された。 CPUはi8088を採用。画面解像度は640×400ドットと当時としては高解像度のビットマップグラフィック画面を備えていた。BASIC ROMは内蔵せず、DOS(CP/M-86またはMS-DOS)の使用を前提とした。テキストの表示はフロッピーディスクからフォントを読み込んでグラフィックとして画面に描画するという、後のDOS/Vに通じる仕組みを採用していた。また、日本語文字コードのシフトJISはこの機種のOSのために三菱電機の提案で制定された。 三菱にとってはこれが同社初のパソコンだった。NECや富士通といった大手コンピューターメーカーが先行して8ビットパソコンや16ビットパソコンを投入して市場の動向を見守る中、三菱は初めから16ビットパソコンで勝負に出たことが登場時に話題になった。名称の「マルチ」には「何にでも使える」という意味が込められていた。パソコン雑誌の特集記事では、IBMが1981年に発売した「IBM Personal Computer(通称:IBM PC)」に「勝るとも劣らない」と注目されていた。 シリーズとしてはi8086-2搭載で完全に16ビットアーキテクチャ化されたMULTI 16-II、その後継で本体に5インチ2HDフロッピーディスクドライブが内蔵されたMULTI 16-III、i80286-8を搭載して輸出向けPC/AT互換機との完全互換機に設計変更したMULTI 16-IVと続き、それぞれMULTI 16 II・IIIの筐体に初代機と同等の機能を備えた廉価版のMULTI 16 カスタム・MULTI 16-Sも販売されたが、1987年発売開始のAX規格準拠パソコンMAXYと交代する形でシリーズ終了となった。なお、MULTI 16は1982年の日経・年間優秀製品賞を受賞、MULTI 16-IVは1986年度のグッドデザイン賞を受賞している。 本シリーズはデスクトップモデルのみの展開であり、ラップトップモデル(後継機種であるMAXYでは提供された)やノートブックモデルといった可搬モデルは存在しない。また、全機種が2000年問題非対応機種である。 なお、MAXY発表直前に発表された三菱電機製PC/AT互換機であるM3300シリーズでは、変換アダプタの併用により、一部の本シリーズ用拡張カードのサポートが謳われていた。また、このM3300シリーズでは専用OSである拡張日本語コンカレントCP/M-86上でのMULTI 16用アプリケーション動作互換性確保を目的として、専用グラフィックコントローラに16ドット表示モードが搭載され、同時発表の14インチカラーCRT (M6310)と14インチモノクロCRT (M6311)にはこのモードでの表示をサポートするため、マルチスキャン機能が搭載されていた。
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