融資額の決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 03:24 UTC 版)
融資額を決定するために、質屋主はいくつかの要因を考慮する必要がある。重要な要素は物品の再販価値の予測である。これはしばしば範囲の観点から考えられるが、質屋が店ではそれを顧客に売れないとして古物卸売業者に売却することを彼らが決定した場合の、古物卸売価格が低い地点となる。同範囲におけるより高い地点は質屋での小売販売価格である。例えば、5年物のラップトップPCが顧客により1000ドルで購入されることもありうる。しかしながら、質屋にある中古品として、質屋での購入価格として250ドルしか値が付かないこともありうる。なぜなら顧客は、それが検出が難しい問題をいくつか抱えているため売り手に処分された「欠陥品」の可能性があることに用心深く、また一般的に質屋は販売した商品に対して保証を提供しないためである。中古電化製品の卸売業者は質屋主からラップトップを100-150ドルで購入する筈である。彼らには中古電化製品の店で売ることができるよう物品をオーバーホールして修理する電気技術者を雇う追加コストがあるため、卸売業者は小売価格より低い価格を払うのである。 また質屋主は問題となる物品に関する需給の知識も考慮して、ラップトップを卸売業者に100ドルで売るか、質屋の顧客に250ドルで売ることになるかを決定する。中古ラップトップの国内市場が飽和している(同在庫が過剰になっている)と質屋主が確信するなら、それを卸売業者に引き取ってもらう必要があり、彼らはラップトップで100ドルしか手に入らないことを恐れる筈である。期待される収入としてその数字を念頭に置きつつ、質屋主は店の経費(家賃、光熱費、電気代、電話接続、イエローページ広告、ウェブサイトの費用、人件費、保険、警報システム、警察に没収されて喪失した品など)および営業利益を考慮に入れなくてはならない。そのため、新品の時に1000ドルを支払ったこのラップトップを持って来た顧客が、あらゆるリスクとコスト要因を考慮に入れている質屋主から僅か50ドルを提示されることも起こりうる。 融資額を決定する際に、質屋主は顧客が数週間または数ヶ月間の金利を支払った後に融資額を弁済して質草物品を取り戻す可能性も評価する。質屋というビジネスモデルの鍵は融資額から利子を生みだすことにあるため、質屋主としては融資期間の利子を払った後に顧客が取り戻したいと思う可能性が高い物品を受け入れたいところである。極端なケースとして、顧客が回収にまるで関心のない物品しか質屋が受け入れなかった場合、それは利子からお金を稼ぐことはなく、その店は事実上の古物取り扱い業だと言えるだろう。 顧客が物品を取り返そうと弁済する可能性が高いかどうかを判断するのは主観的な決定であり、質屋主は多くの要因を考慮に入れて構わない。例えば、健常な若者が電動車椅子を質入れに質屋にやって来た場合(彼は亡くなった祖父母の遺品だと主張している)、質屋主はその物品が質草になるのか怪しむこともある。一方、中年男性が最高級ゴルフクラブを質入れする場合、質屋主は彼がその物品のために弁済することに関してより信頼できると判断するかもしれない。問題の品が自分にとって重要であることを質屋主に説得しようとする顧客もいるだろう(「そのネックレスは私の祖母のものだから、私はネックレスのために確実に弁済します」)。また別の顧客は同じ店に通い、お金を借りる方法として同じ物品を繰り返し質入れし、そして融資期間の終了前に利子を払い、質草を回収するために弁済を行う。従って、質屋は弁済してくれそうだと分かれば融資を組んでくれる。 物品の販売可能性やそれに対する顧客の借入希望額もまた、質屋の評価に反映される。顧客が非常に売れ行きの良い物品を低価格で質入れする場合、質屋はその品で素早く利益を得ることができるため、顧客が弁済する可能性が低くとも質屋はそれを受け入れることがある。ただし、顧客が極端に低い価格を提示した場合、その品が偽造品あるいは盗難品である可能性を示唆しているので、質屋はその提案を辞退することもある。 例えばスウェーデンなど一部の国では、質草の低評価による顧客の犠牲(暴利による財政的苦痛や顧客の無知による損害)で質屋業が不当な利益を得ないようにするための法律がある。そこでは、質屋は質草を保持しなくともよいが公売でそれらを売却しなければならないと書かれている。借入金支払い後の超過分や利息およびオークション費用は顧客に支払わなければならない。物品がこれら経費をカバーする価格を取得しない場合、質屋は物品を保持して、他のルートを通してそれを売却することもありうる。こうした保護にもかかわらず、質による方法で顧客がお金を借入れるコストは高くついてしまうため、当人が質草を買い戻すことができないのなら、大抵の場合は物品を直接売却するほうが良いとされている。
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