融通手形の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/17 08:10 UTC 版)
融通手形には、大きく分けて以下の3種類がある。 典型的な融通手形 現金を必要とする被融通者Aが、信用のある融通者BにAを受取人とする手形を振り出してもらった後、金融機関等の第三者Cに手形割引をしてもらい、手形金額より少ない現金と交換で手形を裏書譲渡する。被融通者Aは、融通者(振出人)Bに対して、手形の満期までに手形金額相当の現金を渡し、第三者C(またはCからの手形転得者D)が融通者(振出人)Bに手形の満期に支払を求めてきたら、BがC(ないしD)に現金を支払い、手形の決済をする。 この場合、手形の原因関係として、ABの間に、手形満期までに被融通者Aが融通者Bに対し、支払資金を提供する旨の内容の融通契約が存在する。 交換手形 現金を必要とする被融通者AとBが、互いに相手の信用を利用する目的で相手方の融通者となり、BはAを受取人とする手形(b)を、AはBを受取人とする手形(a)をそれぞれ振り出し、Aが手形bを、Bが手形aを、それぞれ金融機関等の第三者C(第三者は別々の者でよい)に手形割引をしてもらい、手形金額より少ない現金と交換で手形を裏書譲渡する。そして、手形の満期までに自らが振り出した手形(Aにとっては手形a、Bにとっては手形b)の手形金額相当の現金を用意し、第三者C(またはCからの手形転得者D)が手形の満期に支払を求めてきたら、AとBそれぞれがC(ないしD)に現金を支払い、手形の決済をする。書合手形(かきあいてがた)、馴合手形(なれあいてがた)ともいう。 この場合、手形の原因関係として、ABの間に、手形満期にA・B双方が自らの振り出した手形について支払をし、一方が支払いを怠った場合には他方の支払義務がなくなる旨の内容の融通契約が存在する。 手形貸付 現金を必要とする被融通者Aが、手形金額より少ない現金と引き換えに、金融機関等の融通者Cに対して、融通者Cを受取人とする手形を振り出す。被融通者(振出人)Aは、手形の満期までに自らが振り出した手形の手形金額相当の現金を用意し、受取人C(またはCからの手形転得者D)が手形の満期に支払を求めてきたら、AはC(ないしD)に現金を支払い、手形の決済をする。Cが金融機関の場合、この融通手形のことを手形貸付という。 この場合、手形の原因関係として、ACの間に、手形金額相当の金銭消費貸借契約が存在する。他の2つの場合と異なり、下記の融通手形特有の融通手形の抗弁の問題は生じない。
※この「融通手形の種類」の解説は、「融通手形」の解説の一部です。
「融通手形の種類」を含む「融通手形」の記事については、「融通手形」の概要を参照ください。
- 融通手形の種類のページへのリンク