融合型・分離型・同盟型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:01 UTC 版)
「政教分離原則」の記事における「融合型・分離型・同盟型」の解説
「国教」、「コンコルダート」、および「政教一致」も参照 歴史的条件の違いを反映して、政教分離は国によって様々な形態をとる。1977年にジャック・ロベール(英語版)の試みた類型化によれば、国家と宗教の関係には融合型、分離型、同盟型がある。 融合型(フランス語: la confusion)は国教型ともされ、バチカン市国、イスラム諸国のほか、イギリス、イタリア、北欧諸国も含まれる。 分離型(フランス語: la séparation)のフランスやアメリカ合衆国などにおいては、国家と宗教が完全に分離され、教会は私法上の組織にすぎず、国はその運営に関与しない。ただし、分離型とされる中でも、宗教に友好的ないし同調的なタイプ、宗教に非友好的ないし中立的なタイプ、宗教に敵対的なタイプ(フランス語: la séparation hostile、唯物論に立った旧ソビエト連邦など)の3タイプに分かれる。井上順孝によれば、ピューリタンの影響を受けて建国されたアメリカ合衆国は友好的なタイプ、19世紀を通じてカトリックの影響力が削がれていったフランスのライシテは中立的なタイプに該当する。また井上修一によれば、国教を禁じるアメリカ合衆国憲法は中立的なタイプに該当する一方、フランスの政教分離はカトリックから抵抗を受け、第一次世界大戦後の友好的な時代を経て、今日は同調的なタイプに変わってきた。 同盟型(コンコルダート型)においては国家と教会は独立しているが一定の協力的制度関係が存在する。同盟型における国家の教会への関与の例としては、司教の任命、司祭の報酬の決定などが挙げられる。ドイツにおいては、教会は憲法上の地位を持って活動するが、政治と競合する領域ではコンコルダート(政教協約)を結んで解決する。 融合型(国教制度) マルタ - カトリック(1964年憲法 第2条) コスタリカ - カトリック (コスタリカ憲法 第75条) モナコ - カトリック (モナコ憲法 第9条) イングランド - イングランド国教会(聖公会) スコットランド - 長老派教会 アイルランド - アイルランド教会 ウェールズ - ウェールズ教会 デンマーク - ルター派教会(1953年憲法 第4条) ノルウェー - ルター派教会(1814年憲法 第2条) アイスランド - ルター派教会(1944年憲法 第62条) フィンランド - ルター派教会、正教会(フィンランド正教会) ギリシア - 正教会(ギリシャ正教会) チュニジア - イスラム教 サウジアラビア - イスラム教ワッハーブ派 基本統治法第1条で憲法はクルアーンおよびスンナであると規定 エジプト - イスラム教、ただし宗教政党は禁止されている。 スリランカ - 上座部仏教 ブータン - 大乗仏教 分離型(厳格な分離) アメリカ合衆国 フランス(ライシテ) トルコ(ライクリッキ) メキシコ エストニア スロヴァキア スロヴェニア ハンガリー(ハンガリー共和国憲法) 日本(日本国憲法第20条) - 戦後のみ政教分離型。戦前は国家神道が宗教でないとされ神道が事実上の国教であった。 オーストラリア - 憲法第116条で信教の自由が保障、国教は禁止 コンコルダート型 詳細は「コンコルダート」を参照 オランダ ルクセンブルク ドイツ(1949年基本法 第140条) オーストリア イタリア(1947年憲法 第7条、第8条) アイルランド(1937年憲法 第44条) スペイン(1978年憲法 第16条) ポルトガル(1976年憲法 第41条4項)
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