草創期の訓練概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/24 01:50 UTC 版)
「BWR運転訓練センター」の記事における「草創期の訓練概要」の解説
この訓練施設には本物の発電所と同様の中央制御盤が設置され、過酷事故を模擬したシミュレータが設置されているほか、BWR運転操作のための講義なども実施される。目的に応じて訓練コースは幾つか準備されている。1981年当時の事例によれば次のようになる。 なお特記の無い限り、当時の訓練時間は『経営コンサルタント』1981年4月号による。 標準訓練コース 受講資格は日本原子力発電の基礎研修Aコースの修了と同等以上知識および発電所における現場経験が必要。1組の訓練人員8名。目的は運転員としての基本習得にある。シミュレータ訓練では8名は4名2チームに分けられ、1チームが訓練を行っている間、残りの1チームは発電設備の見学や補習に従事する。中央制御室はプラント2機に1室設備されることが多いが、4人はプラント1機分の人員配置とほぼ等しく、1名が運転責任者役を務め、残り3名はそれぞれ原子炉、タービン発電機、原子炉補機の運転担当役となる。4名は順番に役目を交替し、同一場面の訓練を4つの異なる立場から経験することになる。128時間の内前半は通常の起動、停止操作訓練に使い、後半は事故時の操作訓練に充てる。 シミュレータ:128時間 講義:188時間 見学:48時間 演習その他:74時間 試験:42時間 短期基本コース 標準訓練コースを短縮し、シミュレータ中心に構成、短期間で運転員の養成を実施する。1組の訓練人員は4名。 シミュレータ:80時間 講義:30時間 その他:2時間 試験:8時間 再訓練コース 運転操作技術の維持・向上を目的とする。1組の訓練人員は4名。 シミュレータ:40時間 講義:16時間 試験:8時間 ファミリー研修コース 当直長以下パトロール要員まで含めたファミリー(発電直)チームワークの向上を目的とし、直(一般社会で言う当直)人員揃って参加する。したがって当直長から補機操作員まで1班が揃って参加する。勤務の余暇を利用しているため、訓練単位は1日である。 特別訓練コース 上記の他特定の目的のためにのみ設けられる。訓練内容は事前に打ち合わせを実施する場合もある。一例として運転当直責任者を対象とした事故訓練などがある。 1986年の『電気新聞』の取材記事によると、1969年にGEに派遣された運転員17名のキャップを務めた吉岡三哉(取材時東電工業福島第二原子力事業所長)は「約6ヶ月間、マンツーマンで原子力発電の運転に関し、ピンからキリまでこと細かく頭に叩き込まれた。それも全部英語で。」と回顧している。これに対して、1986年のBWR運転訓練センターでは訓練生4名に教官2名で指導する体制(なおNTCでは訓練生3名に教官1名)であった。なおインストラクターは1986年当時25名、センター生え抜きのプロパーと電力会社、メーカーからの出向社員にて構成される。 ファミリー、特別訓練コース以外のコースでは修了時に筆記、口頭、運転操作の各試験を課し、試験結果は各派遣元に送られ、派遣元での教育指導に役立てられるように配慮している。なお、『原子力の周辺』ではメーカーでシステム設計を担当している者が「実際に運用する人たちの立場で設計の仕事をすすめ」るために派遣されてきている事例も紹介されている。
※この「草創期の訓練概要」の解説は、「BWR運転訓練センター」の解説の一部です。
「草創期の訓練概要」を含む「BWR運転訓練センター」の記事については、「BWR運転訓練センター」の概要を参照ください。
- 草創期の訓練概要のページへのリンク