英国の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 00:21 UTC 版)
英国では1975年から1980年の間に起きた「ヨークシャー・リッパー」事件における捜査ミスの反省が出発点となった。この事件の調査委員会により1981年に重大事件捜査本部標準管理手順と情報管理・運用用捜査支援ソフト「HOLMES」が開発され、重大犯罪分析課(SCAS)システムが整備された。 1985年、「鉄道強姦魔」(ブルーベル事件)と後に呼ばれた連続殺人事件に対し、犯罪の遂行方法から犯罪者の性格が読み取れないかと言うスコットランドヤードの発案が元に心理学をここに組み込む発想が起こる。この際のオブザーバーとして招かれたのがリバプール大学心理学教授デヴィット・カンターであり、カンターが基礎研究・データ管理部分を確立させたことから英国方式はリバプール方式とも言われる。 英国では現代心理学と統計学的を元に確立させたのが大きな特徴と言える。例えば、襲われた被害者は犯人に対する恐怖感から、実際の身長より大きく犯人の身長を記憶してしまう、と言うようなものや、連続犯の多くは事件を経るごとに大胆になるか証拠隠滅や偽の証拠作成が巧妙になるため、初期の犯罪現場の情報を基本とすると言うようなものである。 1995年、ハンプシャーのブラシムルに国立警察活動支援部が創設され、重大犯罪捜査に関与する上級捜査官の育成や助言の中核施設となった。行動科学捜査アドバイザーや地理的プロファイラーが配属されており、取調べやメディア対策への助言なども行われている。また、先述のSCASシステムのデータベース管理しており、このシステムによってイギリスで発生した重大事件はほぼ網羅されているとされる。 これとは別に、1992年に内務省に国立犯罪情報分析局と呼ばれる組織が設立されていた。これは1998年に独立組織となり、ロンドンを本部として六支局に置かれた犯罪組織とそれに関わる犯罪者に関する情報を収集している。国際犯罪と組織犯罪を担当し、インターポールなどへの窓口となる一方、標的プロファイル分析なども行われている。
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