英国の報復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 10:23 UTC 版)
7月30日に、クレイギー大使から報告を受けた英外務省(外務大臣・ハリファックス子爵)は、「コックスの『自殺』はスパイ活動への関与を認めた結果」だとした日本政府の見解に反発し、日本政府による「全国的な英国のスパイ網」の主張には根拠がなく、逮捕されたのは政治活動と関わりのない民間人であり、一斉逮捕は日本国内の軍国主義者の宣伝・政治活動の一環として行われた政治的な挑発だと表明、翌日クレイギーを通じて日本政府に抗議し、自らも駐英日本大使を呼んで抗議した。 8月1日に英外務省は報復措置として英帝国内の異なる場所にいる10人の日本人の逮捕を提案し、内閣の承認を取り付けると、翌日以降各地で日本人が逮捕・拘束された。 8月2日、ヤンゴンで日本人の歯科医「こくぶしょうぞう」(50歳男性)が逮捕された。 8月3日、ロンドンで三菱商事ロンドン支店長の「槙原さとる」と三井物産ロンドン支店の支店長代理「たなべしゅんすけ」の日本人2人が国防規制違反容疑で逮捕された。 8月4日、シンガポールで、東方通信社(Eastern News Agency)の主筆、小林猪四郎(いしろう)が警察に逮捕され、また南洋倉庫の従業員の台湾人1人に国外追放命令が出された。 上記のほか、8月5日までに、香港で「山口商店」の経営者・「山口げつろう」、ヤンゴンで日本人2人(日本産業協会の「おおば」某、男性、Hata&Co.の「ふりはた」某、男性)が逮捕された。 8月5日に、コックスの事件に先立って、7月10日・13日にそれぞれロンドンで逮捕されていた、台湾銀行社員の「江口たかゆき」とドイツ生まれの日本人画家の妻・ミリー(Milley)吉井の2人が国外追放された。 英内閣は外交官や軍人など「重要な地位」にある人物の逮捕は許可しないよう注意を促していたため、外交官や軍人の逮捕は避けられていた。
※この「英国の報復」の解説は、「コックス事件」の解説の一部です。
「英国の報復」を含む「コックス事件」の記事については、「コックス事件」の概要を参照ください。
- 英国の報復のページへのリンク