胴体延長型の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 03:46 UTC 版)
「ボーイング757」の記事における「胴体延長型の開発」の解説
1990年代の前半には757の生産が年間100機となりピークを迎え、この間に発展型の検討も始められた。757はボーイングの単通路ジェット機のなかで、10年以上にわたって発展型が存在しない唯一のモデルであり、航続距離延長型の757-200Xや胴体延長型757-300Xの噂がたびたび流れたが、公式な発表は行われていなかった。1980年代、エアバスがA320の開発を始めようとしていた時期には、対抗する商品として短胴型として757-50を検討していたが実現しなかった。一方、欧州のチャーター便航空会社のは座席定員を増やした胴体延長型に特に興味を示し、そのような機体ができれば757の特徴である長い航続距離をもっと活かすことができると考えた。胴体延長モデルが実現すれば、チャーター便航空会社のニーズに応えられるほか、767-200より低い運用コストで同等の乗客数を乗せられる機種がボーイングのラインナップ加わることになり、座席数185席のエアバスA321の航続距離延長型にも対抗できる可能性があった。 1996年9月2日、チャーター便航空会社のコンドル航空から12機の発注を獲得し、ボーイングはファーンボロー国際航空ショーにおいて胴体延長型の757-300の開発を発表した。757-200のローンチ後18年ぶりの発展型の開発となった。この新型機は757-200よりも胴体が7.11メートル長くなり、座席数を約20パーセント、貨物室容積を約50パーセント拡大できる機内空間が生み出された。ボーイングは757-300の設計期間を同社史上最短にすべく開発に取り組み、ローンチから型式証明までに要した時間は27か月であった。開発上・コスト上の問題から大規模な改良は行われず、737ネクストジェネレーション(以下、737NG)シリーズで採用された新コックピットの採用も見送られた。この胴体延長モデルは、改良されたエンジンと強化されたアビオニクスを搭載し、内装も再設計された。757-300の初号機は1998年5月31日にロールアウトし、同年8月2日に初飛行した。1999年1月に型式証明を受領し、1999年3月19日にコンドル航空が初就航させた。 757-300はアメリカン・トランス航空、アルキア・イスラエル航空、コンチネンタル航空からも受注した。ボーイングでは、この757-300については「757-200のリプレイスを行なう機材ではなく、757-200と767-300の隙間を埋める、全く新しい機体」としていた。しかし、757-300の販売は低調で、最終的に合計55機が製造されるにとどまった。ボーイングは767-200の2大顧客であったアメリカン航空とユナイテッド航空に後継機として757-300を売り込もうとしたが、両社とも新型機の話に乗れるような財務状態では無かった。他のチャーター便航空会社へも売り込みをかけたが、新たな受注につながらなかった。757-300を市場投入したにもかかわらず、1999年11月までに販売が先細りし、受注残が減少したことを受けてボーイングは757の生産率を減らすことを検討し始めた。
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