肯定者の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 20:34 UTC 版)
ホメオパシーで用いられる薬は、ハーネマン自身は"Arzneimittel"(アルツナイ Arzneiは「薬の」ミッテル mittelは「物質」という意味) と著書で呼ぶが、日本や英語圏では一般的に「レメディ」と呼ぶのが慣習となっている。レメディは様々な物質から作られる。製薬過程では希釈と振盪を繰り返す。希釈は、ホメオパシー希釈(英語版)ともいい、その度合いは「ポテンシー」という単位で表される。例えば6Cというポテンシーは、1006(=1012)分の1で、12X(ドイツでは12Dと表記する)と等しい。 ハーネマンの理論を踏襲した現代のホメオパシーは、ある病状を引き起こす成分をそのままでは有毒であるので水によって極めて高度に希釈震盪したものを砂糖に染み込ませる。希釈震盪の度合いは様々であり、10倍希釈震盪を9回繰り返したものを9X、100倍希釈震盪を200回繰り返したものを200Cなどと表現する。最もよく用いられるのは30C、すなわち10030=1060倍に震盪しつつ薄めたものである。これがいわゆるレメディである。 希釈震盪の度合いは、通常の科学的常識に反し、繰り返して薄めたものほど効くと肯定者は主張する。あまりにも薄めてあるため、いわゆるアボガドロ数程度を基準として、原成分は1分子も残っていない可能性が高く、科学的にはそれはただの砂糖玉であり、ホメオパス達もそれを否定していない。レメディのもとになる原成分としては、各種の薬草、鉱物などが多いが、病人の臓器や体液などを成分にしたものもあり、それらをノソードという。 レメディは、すでに現れている症状の治療目的に使われることもあるが、本格的な治療に当たっては、表面に表れた症状よりも、その病気を引き起こした根本的な原因を治療しようとする。このために、レメディの服用にあたっては「ホメオパス」と呼ばれるホメオパシー治療を専門に行う者の処方による。ホメオパスになるためには数年の訓練が必要とされ、そのための専門のスクールも存在する。ただし日本のホメオパシースクールは修学期間が4年と銘打たれていても、実際には週末のみしか授業を行わない、自宅学習の日数が含まれる等実質的な授業時間が短い場合も多々ある。 このようにレメディの元となる薬効成分は多くの場合極めて高度に希釈震盪されており、元となる物質は1分子も含まれていないが、そこには元となる物質の「オーラ」や「波動」、「パターン」、あるいは「水の記憶」が染みこんでいて、1分子も含まれていない毒物(成分は1分子も含まれていないためリスクは全くない、という)の「パターン」や「波動」に対する体の抵抗力を引き出すことにより、自己治癒力などが高まるとする。 ホメオパシーのレメディが効くかどうかは波長が合うか合わないかで決まるので、本質的には必要な波の影響しか受けない。それゆえホメオパシーのレメディは必要な時にしか効かず、健康体の人にレメディを処方しても何の効果もない。ある病気の人に適切なレメディを処方した時のみに効果がある。このため副作用のない最良の療法であるとされる。ただ、希釈震盪濃度を変えずに毎日多量のレメディーを飲み続けると、危険で重大な影響が起こるとハーネマンは注意している。またレメディは同時に一種類しか使用してはいけないとハーネマンはオルガノンの273段落で主張している。 ホメオパスは人が健康なら体も健康という基本的な考えの元に働きかけ、心理的、感情的、精神的な状態に適合したレメディを処方する。このため、ホメオパスとのセッション(面会)では、十分な時間(2時間程度の事が多い)をかけ、患者の心理的、精神的な状態や、成長の過程、とくに過去の大きな問題についてのインタビューが持たれる。そうして基本的な人のタイプを見て、現在の問題を判断しレメディが処方される。
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