簒奪の野心とは? わかりやすく解説

簒奪の野心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 07:22 UTC 版)

石虎」の記事における「簒奪の野心」の解説

石虎は自らの勲功当代随一自認していたので、石勒即位した後は必ずや単于任せられるだろうと語っていた。だが、大単于授けられたのは石勒の子である石弘であった石虎はこれを深く怨み、子の石邃へ「主上石勒)が襄国を都として以来恭敬にして礼を有し、その指示に従ってきた。我が身矢石晒すこと20年余りに及び、南は劉岳を捕らえ、北は索頭を敗走させ、東は斉・の地を平らげ、西は秦・雍の地を定め、実に13州攻め滅ぼした。大趙の業を成したのはこの我である。大単于の望は真に我に在るべきであるのに、青二才の婢児(下女の子供)に授けられてしまった。いつもこの事を思い寝食する事も出来なくなった主上崩御した後を待つのだ。あの種(石勒の子孫)は留めるには足りぬと言い放った330年9月中書令徐光石勒へ「皇太子石弘)は仁孝温恭ですが中山王石虎)は雄暴多詐であり、もし一旦陛下不慮のことがあれば、社稷危機を招くのではないか憂慮しております中山石虎)の威権少しずつ奪い太子早く朝政参画させられますように」と進言すると、石勒内心同意したが従わなかった。 ある時、右僕射程遐石勒へ「中山王勇武権智群臣のうちに及ぶ者がありません。ですが、その振る舞いを観ますと陛下以外の者は皆蔑んでおります。専征の任を担って久しく、威は内外振るっておりますが、性格不仁残忍無頼です。その諸子も皆成長して兵権預かっております陛下の下にいる間は二心抱かないでしょうが、その心中怏怏としており、おそらく少主(石弘)の臣になることを良しとしないでしょう。どうか早くこれを除き大計図られますように」と進言したが、石勒は「今、天下はまだ平定されておらず、兵難未だやんでいない。大雅石弘)も幼いことから強い輔佐が必要である。中山は佐命の功臣であり、衛に等し存在であるぞ(周公旦封国。衛は弟の康叔封国両者とも善政布き、その統治ぶりも兄弟の様であると評された)。やがては伊霍(伊尹霍光)の任務委ねようとしている。どうして卿の言に従えようか。卿が恐れているのは、幼主補佐する際に実権独占出来なくなることであろう。卿も顧命には参加させるそのようなことを心配するでない」と返した程遐は涙を流し「臣は公事について上奏しておりますのに、陛下私事をもってこれを拒まれます。何故忠臣の必尽の義を、明主が襟を開いて聞き入れないのですか。中山皇太后養育されたとはいっても陛下近親者ではなく親族の義を期待してはなりません。陛下の神規に従って鷹犬の功を建てるには至りましたが、陛下はその父子に対して恩栄をもって、もう充分に酬いおられます。魏は司馬懿父子任用したが為に遂に国運握られしまいました。これを観て中山がどうして将来渡って有益な存在であると言えるでしょうか。臣は幸いにして東宮任されるようになりましたが、もし臣が陛下に言を尽くなければ誰が言うことが出来でしょうか陛下がもし中山を除かなければ宗廟必ずや絶える事でしょう」と述べたが、石勒聞き入れなかった。 徐光もまた機会得て石勒へ「中山王陛下から神略を授けられ天下では皆その英武陛下に次ぐものだと言っておりますが、残虐多姦であって利を見て義を忘れるという性質からして伊・霍の忠はありません。彼ら父子爵位重くなれば王位傾け勢いなりかねません。彼の様子を見ますと、常に不満の心を抱いているのが良く分かります最近でも東宮の側で宴を行うなど、皇太子軽んじる様子ありました陛下はこれを許容しておられますが、もし陛下御代終わりなりましたら、臣は宗廟必ずや荒れ果てることになると恐れております。これこそ心腹の重疾であって陛下はこれを図られるべきです」と進言した。石勒黙然としてしまい、ついに従うことはなかった。 332年石勒石弘尚書奏事決済命じると、中常侍厳震にはこれを監督させ、その可否確認させた。これにより、厳震実質的に征伐・刑断の大事を預かるようになり、その威権大い高まって宰相をも凌ぐとなった。その一方で石虎一時権勢失い彼の下を訪れるものは次第減っていった。これにより、石虎の不満はさらに募った石勒石虎が不満を抱いていると聞いたので、鄴へ赴いて石虎邸宅へと向かった。そして、石虎向かって「汝の功績に並ぶ者はいないのだ。宮殿完成したら、次は王(石虎)の邸第を築くので、卑小な事に囚われることのないように」と述べると、石虎は冠を脱いで拝謝した。すると石勒は「我は王と共に天下取ろうとしているのに、謝する必要など無い!」と声を掛けた

※この「簒奪の野心」の解説は、「石虎」の解説の一部です。
「簒奪の野心」を含む「石虎」の記事については、「石虎」の概要を参照ください。

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