第5番「鳥獣戯画」
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「合唱のためのコンポジション」の記事における「第5番「鳥獣戯画」」の解説
NHKの委嘱作品。1966年に同人グループ映像社(監督:松川八洲雄)によって製作された短編映画「鳥獣戯画」の音楽をもとに、演奏会用に作成されたものである。同年の10月6日に、作曲家の指揮で東京放送合唱団によって放送初演された。間宮は、この映画音楽、および合唱曲において、「声と音の身ぶりによって『可笑しさ』『わらい』をあらわすという新たな実験」を行ったと、自著『現代音楽の冒険』に書いている。その結果は、後半の楽章に特に伺える。彼は絵巻から、自分自身の「視覚的イメージ」(楽譜前書き)を得たようであるが、作曲中にそのイメージがだんだん絵巻そのものから離れていったとも明かしている。 混声合唱に、2人の打楽器奏者(鈴、数珠、竹鈴〔鳴子〕、木橦、桶胴、楽太鼓、拍子木、ギロ、シンバル、ボンゴ)とコントラバスを必要とする。コントラバスは、ピチカートやコル・レーニョの多用によって、旋律楽器としてよりも、むしろ打楽器に近い扱われ方をしている。いっぽう、歌詞の大部分は囃子詞であり、第3番までの路線を踏襲している。全音楽譜出版社により出版されている。 第1楽章は男声中心に書かれていて、女声は最後の2小節にしか登場しない。第1番、第2番と同じくテノールから始まる。歌われる素材は声明(東大寺修二会のもの)と囃子詞から成り、仏教音楽と、俗謡を混交させた野性的な世界が展開される。 第2楽章はテノールソロから始まり、しばらくは彼を中心にして曲が進行する。この楽章から基本的に囃子詞のみになる。ジャズを思わせるようなコントラバスの動きが特徴。愛媛県大洲市の田の草取唄がモチーフとなっている。 第3楽章は女声合唱から始まり、およそ50小節の間を、彼女らの鳥のような歌声が独占する。やがて、テノールソロが、次いで、2人のバスソロ、そしてテノール合唱が彼女らに割って入り込む。男たちの中の1人はからかい、また1人は喜び勇み、もう1人は誰かに足を踏まれたらしい。テノールたちは集団で走っているらしく、息が荒い。やがて、さまざまな種類の笑いと悲鳴が巻き起こる。 第4楽章は、冒頭からいきなり合唱団員全員が笑う。それも「はらのそこから」。“爆笑場面”はこの後も随時出てくる。その間に口唱歌が現れ、さながら第1番の終楽章のような華やかさを見せる。コーダでは前3楽章の素材が再現され、最後は威勢良く閉じる。なお、この楽章には、新潟県刈羽郡に伝わる綾子舞の小原木踊と、ウガンダに伝わるヒストリック・ソングが素材として用いられている。
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