章ごとの内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:07 UTC 版)
「エヴゲーニイ・オネーギン」の記事における「章ごとの内容」の解説
第一章 この物語は、プーシキンと思われる人物「ぼく」あるいは「私」によって語られる。「ぼく」は主人公たるオネーギンの友人であった。 ペテルブルクの貴族の家に生まれたオネーギンは、フランス語や経済学を学んで育つ。成長し、社交界に出てサンクトペテルブルクでの上流社会の遊蕩児となり、洒落、美食、観劇、舞踏会、恋愛など、貴族的な娯楽に明け暮れるも、いつしか飽きてしまい、心は冷え、英語でいう"spleen"こと「ふさぎの虫」に取り憑かれてしまう。 第二章 多大な借金を抱えた父と、莫大な遺産を抱えた叔父が同時期に亡くなり、オネーギンは叔父の領地を受け継いで田園に隠棲する。そこで、遊学先のゲッティンゲンから帰郷したばかりのレンスキーという年下の純情なロマン派詩人と知り合い、友人となる。 レンスキーは地元の貴族ラーリン家の姉妹のうち妹のオリガの婚約者であった。 オリガの姉タチヤーナは内気で、一人でいることを好む乙女である。フランスの小説に夢中になり、小説のヒロインに感情移入し、魅力的な小説の登場人物たちに憧れている。 第三章 レンスキーに連れられてオネーギンがラーリン家に現れると、タチヤーナは今まで読んだ小説の男性主人公がオネーギン一人に収斂したように見える。 タチヤーナはオネーギンに一目で恋をする。苦しみのあまり小説のヒロインのように、率直な恋情を綴った手紙をオネーギンに届けさせる。 だが、当時のロシア貴族社会では、婚前の令嬢が母親の許可もなく男性に手紙を書くのは、とうてい許されない、はしたない行為であった 。 第四章 オネーギンはタチヤーナの手紙に心を動かされたが、むしろ年上の分別のある男性として誠実に応対する。 自分は結婚に向かず、タチヤーナを幸せにできないと語り、彼女を兄のような愛で愛していると説く。また、男性に手紙を書くといった世間知らずなことを自分以外の男性が理解するとは限らないと諭し、軽率な行為は慎むべきだと忠告する。 第五章 降誕祭期間中、タチヤーナは恐ろしい夢を見る。雪に埋もれた森の中を、熊に担がれ、化物でいっぱいの小屋に連れて行かれた。彼らの主はオネーギンだ。オネーギンは怪物たちに対し、タチヤーナを「俺のものだ」と怒鳴る。 事情を知らないレンスキーはオネーギンを、タチヤーナの名の日(ユリウス暦 1月13日)の祝いに誘う。オネーギンは野暮ったい宴会であろうと考え、浮かない思いだが、レンスキーに何度も頼まれ、ラーリン家に出かけていく。オネーギンの予想通り、祝いの会は低俗であった。オネーギンは参加者に陰口を叩かれ、彼の存在にタチヤーナには半ば失神しかけ、オネーギンは気分を害す。レンスキーへの意趣返しに、オネーギンは舞踏の相手にオリガを誘い散々戯れる。 第六章 嫉妬のあまりレンスキーはオネーギンに決闘を申し込む。決闘の介添人ザレーツキーはレンスキーの介添人を引き受け、またオネーギンは世間体を気にしてしぶしぶ決闘に臨む。このとき、オネーギンは己の介添人を本来資格のない使用人ギヨーとしたり、推定2時間程度遅刻をするなど、決闘を行う気がなかったことが描写される。決闘はレンスキーの死で終わる。オネーギンは激しい衝撃を受ける。 第七章 間もなくオリガは別の男性と結婚し、ラーリン家を出て行く。オネーギンも領地を去った。 タチヤーナはオネーギンの留守宅に行き、彼の蔵書を読み浸る。タチヤーナは彼を理解し始め、「ぼく」はオネーギンの空虚さを激しく非難する。 第八章 推定約三年後、オネーギンは相変わらず無為に苦しんでいた。旅から戻り、モスクワに着いたその脚で社交界へ趣いたオネーギンは、公爵夫人となったタチヤーナと再会する。 タチヤーナはすっかり威厳ある貴婦人である。放蕩に飽きた26歳のオネーギンであったが、そのとき突然タチヤーナに対し、子供のような恋に落ちる。彼はタチヤーナの出席する夜会にせっせと出かけ、思いの丈を綴った手紙を何通も書く。思い詰めるあまり、やつれていく。 あるとき、彼の手紙を読んで泣いているタチヤーナに会う。タチヤーナはオネーギンを愛していると告げるも、社会道徳を重んじ、貞節を守るという。夫のИ公爵が帰ってくるところで物語は終わる。
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