立法上の課題
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民法第725条については今後の立法上の課題として取り上げられることがある。親族の範囲の定め方については、婚姻取消権者の範囲や近親婚にあたる範囲など対象となる親族の範囲について各条項ごとに個別的に定める個別的立法(限定主義)と親族の範囲について一般的な条項を設けて定める総括的立法(包括的限定主義)とがある。 日本法は後者の法制を採用しているが、日本民法のように血族と姻族の一定範囲を限って、これを「親族」と称して法律上特別の身分とする法制は現代では他に立法例をみないとされる。この点については、民法上の「親族」の概念は現実の家族集団とかけ離れたものとなっていると指摘されており、また、実際には親類として交際しておりながら法律上は必ずしも親族とはされず、他方で全くの面識・交際のない者が法律上は親族とされることになると問題点を指摘する立場がある。そもそも血族関係・姻族関係には無限の広がりがあり、現実の親族による共同生活の範囲は一定の経済生活の下、習俗や道徳を中心に規律され構成されるものであるとされる。現代の各国における一般的な法制でも、血族は無制限に「血族」で、姻族については血族に準ずる関係とした上で、配偶者関係については他の一般の親族関係の観念とは別個の観念として規定されるのが普通とされる。そして、近親婚の制限、扶養義務、相続権などについて個別的に何親等内の血族あるいは姻族に対して一定の法的効果(権利義務)を認めるという形式で規定するのが通例とされる。 実際には日本の民法においても基本的には近親婚の制限、扶養義務、相続権などについて個別的に範囲が定められており、他方、民法725条に定める親族全体に包括的一律に一定の効果をもたせることは少ないことから、結果的に民法725条で親族の範囲を規定しているにもかかわらず、わざわざ個々の条項において具体的効果の及ぶ親族の範囲について更に定めるという二重の構成となってしまっているとして問題視する見解がある。また、そもそも親族編の冒頭に本規定を置く意味があるのか疑問視する見解も出されている。そのため、昭和34年7月の「法制審議会民法部会身分法小委員会仮決定及び留保事項」の第一では民法725条については削除すべきとされている(なお、将来的に民法725条を削除することとなった場合には他規定において調整すべきことが同項に明記されている)。
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立法上の課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 09:39 UTC 版)
日本において明治時代初期に制定された民法は、現代の生殖医療技術による子の出産をまったく予定しておらず、もはや従来の法解釈だけでは到底対応できなくなっており、いかなる生殖補助医療まで許されるか、親子関係の決定の基準など解決すべき問題も多いとされ、これらの点について立法措置による明確化が必要と考えられている。 また、血液型やDNA鑑定などの血縁上の親子関係の鑑定技術が向上する中で、法律上の親子関係について、血縁上の親子関係との一致を重視すべきか、養育の事実と本人の意思を基礎とする外観的な親子関係の保護を重視すべきか、今後の立法において特に重大な課題とされる。
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