取消権者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 16:37 UTC 版)
前述のとおり、取消しは制限行為能力者や瑕疵ある意思表示をした者を保護するための制度であるから、基本的に、表意者以外の者が取消しを主張することは制度趣旨にそぐわないといえる。そこで、民法は「取消権者」という概念を定め、「取消し」を主張できる者を次のとおりに制限している。 取消権者項目制限行為能力者の意思表示の場合瑕疵ある意思表示の場合1.本人 制限行為能力者本人(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。) 瑕疵ある意思表示をした者(錯誤、詐欺、強迫を受けて意思表示をした者)本人 2.代理人制限行為能力者の法定代理人・任意代理人・826条の特別代理人 瑕疵ある意思表示をした者の法定代理人・任意代理人・826条の特別代理人 3.承継人制限行為能力者の包括承継人・特定承継人 瑕疵ある意思表示をした者の包括承継人・特定承継人 4.同意権者保佐人や家裁による同意権付与の審判を受けた補助人 × 制限行為能力者本人制限行為能力者の取消しにおいては制限行為能力者本人も取消権者とされており(120条1項)、制限行為能力者本人が単独で取り消す場合にも取消しは完全に効力を生じるのであって、取り消すことのできる取消しとなるわけではない。 2017年の民法改正で「他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。」というカッコ書が追加された。 同意権者制限行為能力者の取消しの場合は同意権者も取消権者となる。同意権者とは、保佐人や家庭裁判所による同意権付与の審判を受けた補助人など、制限行為能力者の保護監督者の中でも当然に代理権を有しない者のことを指す。 以上に挙げられていない者(保証人や抵当不動産の第三取得者など)は、取消権者ではない。例えば、保証人は被保証債務(主債務)を取り消せれば、付従性(附従性)により自己の債務も消滅させることができるが、取消権者ではないため保証人としての地位に基づいては取消権を行使できない。
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取消権者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 14:41 UTC 版)
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者またはその代理人、承継人もしくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる(120条1項)。 制限行為能力者本人 未成年者、成年被後見人、被保佐人、民法第17条第1項の審判(同意権付与の審判)を受けた被補助人である(20条第1項)。 制限行為能力者本人が取消権者と規定されているから(120条1項)、制限行為能力者本人が保護者の同意なく単独で取り消す場合にも取消しは完全に効力を生じるのであって、取り消すことのできる取消しとなるわけではない。 制限行為能力者の代理人 親権者や未成年後見人、成年後見人などである。 制限行為能力者の承継人 同意権者 保佐人や家庭裁判所による同意権付与の審判を受けた補助人などである。
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