発見と復元
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 01:29 UTC 版)
ハルキゲニアの全身化石(頭部は右側に向く) 頭部側(左)が欠損したゼヌシオンの胴部化石 詳細は「アイシュアイア#分類」、「ハルキゲニア#復元史」、「ファシヴェーミス#発見と分類」、「ディアニア#復元史と系統関係」、および「カリョシントリプス#MPZ_2009/1241に関する議論」を参照 軟質構造のある化石標本に基づいた葉足動物の最古の文献記載は、20世紀初期まで遡れる(Walcott 1911, Pompeckj 1927)。しかし葉足動物の発見史の中で、最初では全く別の生物と見間違われた種類は少なくない。例えばアイシェアイア、ハルキゲニアとファシヴェーミスは、いずれも最初では多毛類の環形動物と考えられた。特にハルキゲニアは上下を逆さまに復元され、異様な未詳生物(プロブレマティカ)と誤解釈される時期すらあった。ファシヴェーミスの無脚で蠕虫状の胴部は葉足動物として前代未聞であるため、2010年代後期以降の再検討まででは、葉足動物的本質が長らく疑問視されていた。他に似たような例として、アシノクリクスは記載当初では緑藻と見間違われ、頭部が見つかる以前のゼヌシオンは胴部を逆立ちにされ、エディアカラ生物群に類する固着生物と解釈される経緯があった。 最初では単離した甲皮や棘のみ知られ、それが何らかの別生物由来と誤解釈された葉足動物もある。1990年代以前のエオコンカリウム類と2010年代以前の一部のハルキゲニア類は、単離した甲皮と棘が世界中の微小硬骨格化石群(small shelly fossils、SSF)で見つかり、前者の網目状の甲皮は最初では放散虫の殻、後者の棘は長い間に節足動物もしくは由来不明とされてきた。これらの化石は、後に同群の全身化石の甲皮/棘との類似性を解明され、葉足動物由来だと判明した。 記載当初から既に葉足動物だと分かり、もしくは後に葉足動物だと判明した種類の中でも、それ以降の復元に劇的な更新や異説を提唱された例が多い。例えばハルキゲニアとカーディオディクティオンは、一時期では頭部が二枚貝様の甲皮に覆われると解釈されたが、再検証によるとそんな構造はなかった。ディアニアの葉足は原記載に節足動物的な関節構造をもつとされ、ミクロディクティオンの甲皮は一部の文献に複眼と解釈されたが、いずれの異説も後に多くの反発と再検証を受けて、否定的にされた。また、ハルキゲニアをはじめとして、一部の種類は頭部と尾部が判断しにくい時期があり、それに踏まえて前後逆さまに誤解釈されることもあった。 上述の例とは逆に、別の古生物由来の化石を誤って葉足動物と解釈されたケースも稀にある。例えば最初では葉足動物の全身化石と解釈され、それぞれムレロポディア(Mureropodia apae)とアイシェアイアの種(Aysheaia prolata)として命名された化石標本は、いずれも再検証によりラディオドンタ類(前者はカリョシントリプス、後者はスタンレイカリス)由来の単離した前部付属肢だと判明した。また、正体と体の向きを修正される以前の葉足動物ハルキゲニアに対しては、これらのラディオドンタ類の前部付属肢のように、別の大型動物から脱落した付属肢ではないかという異説もかつてあった。
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