病原性細菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 14:43 UTC 版)
ヒトや動物の体は、皮膚や粘膜で成長する有益な共生細菌や、主に土壌や腐生植物で成長する腐生細菌など、多くの種類の細菌に常にさらされている。血液や組織液には、多くの細菌の成長を維持するのに十分な栄養素が含まれている。体には、微生物が組織内に侵入することに対抗し、多くの微生物に対する自然免疫を獲得するといった、防御機構が存在する。ウイルスとは異なり細菌は比較的ゆっくりと進化するため、ある動物に感染する細菌が異なる種の動物にも感染することも良く見られる。 細菌が他の生物と寄生的な関係を形成する場合、それらは病原体として分類される。様々な病原性細菌がヒトの病気や死を引き起こすことが知られている。例えば、破傷風(破傷風菌)、腸チフス、ジフテリア、梅毒、コレラ、食中毒、ハンセン病(Micobacterium(らい菌))、結核(結核菌)、などが代表的である。ヘリコバクター・ピロリによる消化性潰瘍の場合のように、既知の医学的疾患の病原性の原因が何年も後に発見される可能性もある。細菌性疾患はまた農業分野においても重要であり、例えばすすかび病や火傷病、ヨーネ病、乳腺炎などを引き起こす細菌の存在や、家畜に感染するサルモネラや炭疽菌などの存在が知られている。 それぞれの病原体は、その宿主であるヒトとの間で、特徴的な相互作用を引き起こす。ブドウ球菌や連鎖球菌などの一部の生物は、皮膚感染症、肺炎、髄膜炎、敗血症、全身性炎症反応によるショックを引き起こし、大量の血管拡張、そして死を引き起こす可能性がある。しかし、これらの細菌は通常のヒト常在菌の一部でもあり、普段は病気をまったく引き起こすことなく皮膚や鼻に存在している。また他の例としては、他の生物の細胞内でのみ成長および繁殖することができる細胞内寄生細菌であるリケッチアが挙げられる。リケッチアの1つの種はチフスを引き起こし、別の酒はロッキー山紅斑熱を引き起こす。別の門の細胞内寄生細菌であるクラミジアは、肺炎や尿路感染症を引き起こす可能性があり、冠状動脈性心臓病に関与している可能性のある種が含まれている。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa),やBurkholderia cenocepacia、Mycobacterium avium,などの一部の種は日和見病原体であり、主に免疫抑制や嚢胞性線維症に苦しむ人々に対して病気を引き起こす。一部の細菌は毒素を産生し、それが病気を引き起こす。これらには、壊れた細菌細胞に由来するエンドトキシンと、細胞外に分泌されるエキソトキシンが含まれる。たとえばボツリヌス菌は呼吸麻痺を引き起こす強力なエキソトキシンを生成し、サルモネラ菌は胃腸炎を引き起こすエンドトキシンを生成する。一部のエンドトキシンはトキソイドに変換することができ、トキソイドは病気を予防するためのワクチンとして使用される場合がある。 多くの細菌感染症は、抗生物質で治療することができる。抗生物質は、細菌を殺す場合は殺菌性、細菌の増殖を防ぐだけの場合は静菌性に分類される。抗生物質には多くの種類があり、それぞれは宿主には悪影響を与えず、病原体が行う生物プロセスのみを阻害する。例えば、クロラムフェニコールとピューロマイシンは細菌のリボソームを阻害するが、構造的に異なる真核生物のリボソームは阻害しないため、細菌に対して選択的に毒性が発揮される。抗生物質は、人間の病気治療や集約農業、動物の成長促進などの目的で使用される。抗生物質は、細菌集団における抗生物質耐性の急速な発達に寄与している可能性が指摘されている。感染は、注射器の針で皮膚を刺す前に皮膚を殺菌するなどといったような消毒によっても防ぐことができる。細菌による汚染を防ぐために、外科用や歯科用の器具は常に使用前に滅菌されている。漂白剤などの消毒剤も、物体表面の細菌やその他の病原体を殺して汚染を防ぎ、感染のリスクをさらに減らすために使用される。
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