用法と用量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 17:18 UTC 版)
以下は、日本薬局方における用法である。 アヘン末の35vol%エタノール浸出液であり、モルヒネ0.93〜1.07w/v%を含有する暗赤褐色の液体で、経口で摂取する。日本薬局方アヘンチンキは劇薬及び麻薬に指定されており、医師の処方箋がないと入手できない。また、下記のような規定がある。 効能・効果 激しい下痢や手術後の腸管蠕動運動を抑える、また激しい痛みや咳を抑える。 使用上の注意 心機能や呼吸機能、肝臓や腎臓に機能障害を持つ患者やショック状態にある患者、薬物依存症の既往歴がある患者、高齢者や小児には慎重に投与する。また体が衰弱している患者も同様である。重い炎症性腸疾患の患者への投与も気をつけないと、巨大結腸症の恐れがある。気管支喘息や急性アルコール中毒の患者、出血性大腸炎の患者には用いないこと。細菌性下痢の患者への投与も慎重を要する。 相互作用 エタノールが含まれているため、ジスルフィラム、シアナミド、カルモフール、プロカルジバン塩酸塩との併用で顔面紅潮、頻脈、多汗などのアルコール反応を起こす可能性があるため、これらの薬剤とは併用しないこと。また、セフェム系抗生物質やメトロニダゾールでも同様のことが起きる可能性がある。中枢神経抑制剤、吸入麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害薬、三環系抗うつ剤、β-遮断剤、アルコールと併用すると呼吸抑制や低血圧、昏睡を起こすことがある。 副作用 重大なものとして薬物依存、呼吸抑制、せん妄、気管支痙攣、喉頭浮腫などが起こる可能性がある。また炎症性腸疾患の患者の場合、麻痺性イレウスや中毒性巨大結腸の可能性もある。 それ以外にも不整脈や神経系眠気、眩暈、興奮や発汗、消化器悪心や便秘、発疹、排尿障害などを起こすことがある。妊婦や妊娠の可能性がある女性には、治療上の有益性がアヘンチンキ投与のリスクより大きい場合にのみ投与する。また、授乳中の女性への投与は避ける。 過量投与 呼吸抑制や意識不明、血圧低下、嗜眠、心拍数減少、縮瞳などが起きることがある。 薬効薬理 主成分のモルヒネのほか、パパベリン、ノスカピン、コデイン等の各種アルカロイドを含んでいる。主成分のモルヒネは鎮痛や鎮静、止瀉の作用があり、パパベリンは鎮痙(けいれんを緩め、またけいれんによる内臓痛を取り除く)作用がある。副アルカロイドのノスカピンは、モルヒネの作用を増強する。 貯蔵 室温による保存。開封後は光に当てず密栓して保存する。 薬物依存を生じる可能性があるため、十分患者の様子を見たうえで慎重に投与しなければならない。眠気、眩暈を起こす可能性があるため、投与中の患者には自動車の運転や、危険を伴う機械の操作には従事させてはいけない。 アヘンチンキは麻薬に指定されているため投与日数は14日分が限度である。
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