用法と起源を巡る論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/10/21 23:25 UTC 版)
クラーベの音楽的な用法と歴史的起源の双方を巡り活発に行われる議論はクラーベの音楽的生命力の最も偉大な証拠かもしれない。この節では、(全てではないが)ミュージシャンたちがクラーベを代表していると考えているキューバ以外の音楽から例を紹介する。最もよくある主張である、ブラジルや一部アメリカのポピュラー音楽のものについては後述する。 Claveはスペイン語であり、その音楽的用法はキューバ西部、特にマタンサスとハバナで発達した。しかしながら、このリズムの起源はアフリカ、特に現在のガーナとナイジェリアに当たる西アフリカの音楽に遡る。また中東の一部地域にもクラーベに類似したリズムがある。 キューバ音楽に現れるクラーベが(ブラジル、アメリカ、アフリカ、中東の)他の音楽形式に出現する同様のリズムと同じように機能しているか否かについても議論がある。キューバ音楽のうちいくつかの形式では、クラーベとそれ以外の音楽要素との間に、分野を超えてすら厳密な関係を要求しており、これはキューバに特有であるようだ。例えば、グアグアンコ(民族音楽スタイル)のカスカラのパートはポピュラー音楽のサルサ・スタイルでのカスカラのパートと同様にクラーベと関係する。ブラジルやアメリカのポップ音楽では、「クラーベ」の上にどんなリズムの組み合わせでも載せることができる。 クラーベ型リズムの多くの文化に渡っての広がりには素材の借用も関係しているのだろうし、またクラーベの数学的な配分も関係しているのかもしれない。クラーベの「3」側はその3つの音符と拍子・ビートとの間にほぼ黄金比を形成する。人間は対称性を見出すことに喜びを感じるという美学理論の主張によるなら、このことはクラーベのリズムを満足を齎すものにしている。クラーベは高位のリズム的な対称性として機能し、この分析によるならば、それが我々がクラーベを心地良いと感じる理由となる。これは4/4拍子で最も簡単に作り出せるシンコペーションでもあり、このために多くの異った文化で独立して発展したのかもしれない。
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