用法と解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 05:13 UTC 版)
そもそも厳密には、琉球方言の「をなり」「えけり」は日本語の「妹」「兄」という意味ではない。「兄から見た妹」を「をなり(おなり)」、「妹から見た兄」を「えけり」と呼ぶ。つまりをなり・えけりは、兄と妹のみで完結した関係性なのである。をなりとえけりの想定する宇宙には、男女は兄と妹しか存在しない。 伊波普猷はこのことから、「この概念は男女間のすべての関係性を内包するもの」と指摘した。つまり、をなり・えけりには、肉親としての男女、恋人としての男女、夫婦としての男女の関係が多層的に想念され、その世界において、兄=男が世界を支配し、妹=女は男を守護し、神に仕える神女と位置づけられるのである。 後述するように、この思想が琉球王国の祭政一致体制の基盤を作ったと考えられている。 なお、女性の霊力への信仰や、兄と妹にこうした関係性を投影する古代信仰・宗教や神話は、大和を含め、西洋東洋を問わずに散見される。柳田國男は、日本神話の兄神と妹神の関係性に琉球のをなり神信仰との類似点があることを指摘し、おなり神信仰が大和と琉球に共通した古代信仰であると考察している。
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