用水路への転落事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 05:55 UTC 版)
用水路には人間や自転車、自動車の転落事故が起きる危険性がある。『朝日新聞』の調査によると、用水路への転落による死亡者は年間100人を超える。頭を打つなどして立ち上がれず、周囲に救助する他人がいないと、水深10センチメートル程度の用水路でも水死することがある。事故が起きる可能性がある用水路全てに蓋や柵を設けることは、費用面などから困難である。 NHKによると、2018年の1年間に全国で2000人以上が用水路に転落して死傷している。用水路は国や市町村が管理しているものや土地改良区が管理しているものが混在しているが、特に土地改良区が管理しているものについては財政的な問題で柵や蓋の設置が困難な状況となっている(土地改良区を構成する農家が費用の40%を負担する必要があるため)。 住血吸虫症の撲滅を達成した現在では、用水路のコンクリート化・暗渠化は主として道路用地の確保、とりわけ、学童を始めとする交通弱者の安全確保を目的とした歩道拡幅の要請に依る面が多くなってきている。モータリゼーションの進展により津々浦々の細路にまで自動車が進入してくる状況と、多数の児童が被害者となる重大死亡事故の度に高まり続ける住民側からの通学路の安全確保の要請、歩行者の水路への転落事故などに起因する行政訴訟に管理不行届として行政側が敗訴する事例が多発している昨今では、道路側溝・用水路・小河川の別を問わず、開渠の上部空間の有効利用・安全性確保は行政の水路の管理上既に避けては通れない問題となっており、交通弱者の保護に優先して自然環境の保全を目的とした管理を行うためには、住民や保護者側の用水路の環境機能に対する深い理解も必要不可欠なものとなってきている。
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