現行規格手帳
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2000年(平成12年)3月、当時続発していた警察不祥事への対策を練るため、警察刷新会議が設置された。同年7月に同会議が発表した緊急提言において、警察官の「匿名性」が問題視され、警察官の責任所在の明確化を求められた。この提言を受け、名札による個人認識番号の明示と共に、警察官の身分証たる警察手帳のデザイン変更が検討され、2002年10月1日から、新デザインの警察手帳が使用され始めた。 新デザインの警察手帳は、2002年7月5日に公布された『警察手帳規則の一部を改正する規則』により、アメリカ合衆国の警察の「バッジケース」に倣い、手帳機能をなくして身分証機能のみに特化した。手帳表面に文字やマークは一切無く、内部の恒久用紙とメモ帳も廃止されることとなった。手帳としての機能は従前から、警察内でもあまり使用されていなかったという事情があるという。手帳を開くと上面に冬用制服を着装、脱帽で識別章が見える上半身の写真を貼付または印刷し、階級・氏名等を日本語、英語で併記、更に証票番号(職員番号)を明記し、ホログラム表示された直径29ミリの旭日章を貼付したプラスチック製カード型身分証票、下面に金属製の記章(バッジ。逆三角形に近い輪郭、上部にスクロール入り「英語: POLICE」のアルファベット、下部に警察庁・皇宮警察・都道府県警察の名称、中央に後光を放つ旭日章。色は金色と銀色のツートーン)が配されることとなった。開陳が容易になることで、身分を証明する証票部分を呈示し易くなった。表紙に警察官であることを示す文字がなくなったため、警察官である事を証明するには表紙を開いて中を提示する必要があり、同時に自身の階級・氏名も提示しなければならなくなった。もっとも、アメリカの警察と違い、バッジには個人番号は入れられていない。 なお、あまり知られていない手帳本体の機能としては、上面部分に証票入れの他、名刺入れが装備されている(最低1枚名刺を入れておかなければいけない)。 手帳外被はドラマや映画等では黒であるが、実際の物は濃い焦茶色(チョコレート色)で、革製である。縦約11センチ、横約7センチのサイズである。汚損防止にビニールカバーが嵌められている場合もある。なお、この形状変更に伴い、被指定者に交付されて手帳に貼られた「司法警察員の証」を廃止した県警が多数ある。 また、交通巡視員及び西日本の一部の警察本部の少年補導員にも同様式の少年補導員、交通巡視員手帳の貸与が規定されているが、司法警察職員である警察官が所持する警察手帳と区別するため、記章装着部分の上部に、『交通巡視員』若しくは『少年補導員』の文字を金色にて表示している。 なお、身分証は階級が変わらない限り更新されないので(これは旧形式当時からである)、昇任試験を受けなかったり、受験しても不合格だったりすると、いつまでも交付当時(最低階級で巡査長・この階級は余程の事がない限り誰でも勤続11年目でほぼ自動的に昇格する)の証明写真のままである。
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