現行規格への非難と新設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 09:43 UTC 版)
「ヘルメット (自転車)」の記事における「現行規格への非難と新設計」の解説
ヘルメットの内装が硬すぎて効果のない可能性がある。いくつかの標準規格では人の頭部より重く硬い頭骨模型を要求するため、人の頭部よりも緩衝材がつぶされかねない。 実際の事故では、 たいていは、内装の緩衝材がほとんど潰れていないことは明かだった。本当の衝突で実際に起こることは、人の頭部が衝撃によって弾力的に変形するということである。剛体の頭部模型を使う標準的な衝撃吸収試験では、結果として全ての加速度減衰は内装の圧縮として現れるので、頭部変形の影響が考慮されていない。剛体の頭部模型はヘルメットのパッドをつぶしやすいので、衝撃吸収試験に合格するために製造業者はヘルメットに比較的固い緩衝材を用意しなければなかなかった。その結果、表15のイラストのように、剛体には程遠い子供の頭蓋骨が衝撃によってあっさり変形する。この事実は、医療現場では良く知られており、これが子供が思ったより軽症の頭部衝撃でも観察のために入院する理由となっている。衝突の間に生じる子供の頭部の実質的な弾性変形は、きわめて広範囲にびまん性軸索損傷を引き起こす。 — 本当の事故では、ヘルメットの破壊は良く起こるけれど、緩衝材がつぶれて意図した通りに働いたというヘルメットを滅多に目にすることはない。 別の情報源として、カスタマーサービスへ返却された破損ヘルメットから得た実地経験があります。1995年の数か月間、私は破損した乳児や幼児用ヘルメットを収集しました。ペシャンコになったヘルメットだけでなく、中身がつぶされているようなヘルメットでさえ見つけられませんでした。 — 新設計の内装「コーン・ヘッド」は現在、オートバイ用に製造されており、自転車用ヘルメットはまだ存在しない。このヘルメットは、1987年に行われた研究の成果を元に設計されている。これがあれば、自転車用ヘルメットにもよりよい衝撃吸収性を提供できるようになる。 大部分のヘルメットは、回転衝撃に対する保護を提供しないばかりか、悪影響を与える恐れがある。 「重要な発見として、頭蓋骨は(引用者注: 脳を)回転衝撃から守る重要な役割を担っています」とフィリップス・ヘルメット社は主張している。ほとんどすべてのヘルメットが頭蓋骨への直接打撃に関与しているだけでなく、頭蓋骨の中で起こる脳の回転によって起こる血管の損傷にも関係している可能性がある。 構造的な制約から、頭部は単一の自在な関節「首」により楕円を描くように回転する。したがって、回転を生じないようにぶつかることはできない。 頭部はそういった力を、頭髪と頭皮や硬い頭蓋骨、さらには脊髄液といった潜在的な防衛機能を組み合わせて減衰させる。衝撃を受けている間、頭髪や頭皮がつぶれたり頭蓋骨上で動くことで回転衝撃を吸収する役割を果たす。これが衝撃からエネルギーを吸収するのである。 — フィリップス社の頭部保護システムは回転傷害が減少するよう設計されているが、これも現在はオートバイ用にしかない。
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