変形の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/05 17:30 UTC 版)
「変形近似自己補対アンテナ」の記事における「変形の影響」の解説
結論として、自己補対アンテナを実用化に向けて変形近似したアンテナは、定インピーダンス性が多少は損なわれるが、依然として他方式と比べたときには、超ブロードバンド(超広帯域)特性の実用アンテナとしての優位性が保たれる。そして、その変形近似によって得られる形状は、必然的な結果として、全ての隣接ダイポール間で交差給電ダイポール配列となるのである。しかも、全く同じダイポール配列への給電法を、非交差給電に変更して得られるアンテナには、広帯域性が無いことが計算と実測によって確認されている。これはすなわち、形状に無限の自由度がある自己補対構造の折りたたみによる交差給電が広帯域性をもたらすのであって、アンテナの対数周期形状が広帯域性を与えるのではないことを示すものである。いわゆる対数周期ダイポールアレイ(LPDA)は、自由度のある形状の中の、単なる一つの形状からの変形の実例に過ぎない。また、対数周期構造の1周期間におけるアンテナ特性については、周波数に対する不変性が無いことが指摘されている。しかし、そのインピーダンス値の変動を除去する確実な方法として、自己補対形状の導入を明示し、その定インピーダンス値の表示式を、“Mushiake’s relation” と呼んでいた。(現在は“Mushiake relationship” と呼ばれている)。 以上の説明を総合的に判断すると、いわゆるLPDAは、実は対数周期形状を持つ、変形自己補対ダイポールアレイ(MSCDA)であることが判明する。更に最近は、この等間隔交差給電ダイポールアレイ(図3、MSCDA)が、Wi-Fi アンテナとして使用されている実例もあるので、Wi-Fi の今後の普及に伴って、この種のブロードバンド・アンテナの更なる発展と、情報化社会への顕著な貢献が確実視されている。 なお、不平衡給電型・変形自己補対アンテナについては、既に貴重な実験的研究成果が発表されており、放射特性を含む種々の詳細な設計資料 が公表されている。ブロードバンド・アンテナの、 Wi-Fi、 IoT などへの最近の顕著な普及に応えるものとして、この研究成果を含めた更なる活用が期待される。
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