犯人像についての捜査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 05:26 UTC 版)
「名護市女子中学生拉致殺害事件」の記事における「犯人像についての捜査」の解説
拉致現場を目撃した住民の証言によれば、男はいずれも20歳前後の日本人とみられる人物で、第一報では「1人は緑色の七分のズボンを、もう1人は白の上着とカーキ色の作業ズボンをそれぞれ着用していた」とされていたが、服装に関しては後に「1人は緑色の上着に青の短いズボンを、もう1人は緑の半袖シャツにジーンズの半ズボンを着用していた」と訂正された。犯人に関する情報は、その犯行時の服装に関する情報を除くと、「1人は身長160 - 170 cm程度で、色は浅黒く、中肉」という情報だけで、人相など身体的特徴に関しては全く手掛かりはなかった。このため、被疑者のモンタージュ写真は作成できなかった。 実際の犯人(YおよびU)は、いずれも本土から流れてきた人間だったが、犯人像について、県警は当初「近所のチンピラの犯行」と睨んで捜査しており、地元住民たちも犯人や犯行車両をその線で捜索していた。犯人は当初から、日本人風の男とされていたが、当時の沖縄は、前年(1995年)9月に発生した米兵による少女暴行事件の記憶が生々しく、県民の在日米軍に対する感情が悪化していたことから、「アジア系の顔をした米兵ではないか?」という見方をする市民もいた。一方、米軍基地の敷地内は日米地位協定により、米国の排他的管理権が認められているため、日本の警察はアメリカ合衆国側の同意がなければ立ち入ることができず、名護市の近隣に位置する宜野座村や金武町は、7月21日の一斉捜索を控え、それぞれ米軍側にキャンプ・ハンセンや、米軍の訓練場2か所(ブルービーチ、ギンバル)への立ち入り捜索許可を求めたが、いずれも認められなかった。また、名護市もキャンプ・シュワブや北部訓練場の内部の捜索を申請したが、後者は1時間しか許可されなかった。このことを踏まえ、『AERA』(朝日新聞社出版本部)編集部の長谷川熙は、事件解決前に、「目撃証言では『犯人は日本人風』とされており、米軍基地との関連は不明だが、沖縄県警は米軍基地を『治外法権下』と拡大解釈して初めから自己規制し、米軍基地をことさら腫れもの扱いすることで、基地への捜査の努力を放棄している」と指摘していた。一方、久高は外国人による犯行説について、否定的な考えを示していた。 また、目撃者がいても意に介さない大胆な犯行手口から、「犯人は東南アジア方面の人身売買の国際的な誘拐団で、日本人少女を誘拐するため、最初から緻密な計画を練り、逃走経路を確保した上で犯行におよんだ。犯人グループは犯行直後、船で日本を脱出し、車は日本国内の協力者に処分させた」という見方もされていた。
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